僕のブルースマン列伝 7

さて、今日のブルースマンは トミー・マクレナンTommy McClennan

1908年ミシシッピー州ヤズー・シティ近くで生まれました。1920年から1930年にかけてロバート・ペットウェイを相棒に活動しました。ビッグ・ビル・ブルーンジーの勧めで、1939年から42年にかけて、ブルーバードに40曲をレコーディングします。「ボトル・イット・アップ・アンド・ゴー」、「ウィスキー・ヘッド・ウーマン」、「ディープ・ブルー・シー・ブルース」、「クロス・カットソー」などが有名です。緊迫感漂う強靭な歌声と叩きつけるような荒っぽいギター奏法は異彩を放っています。1958年頃にシカゴで亡くなった言われています。

僕が彼の演奏を聴いたのは70年代に発売されたオムニバスアルバム・・・今は手元にないのでタイトルもどこから出てたのかも忘れてしまったが確か「1940年代のミシシッピブルース」というようなものだったと思う 収録されてたブルースマンは「ロバート・Jr・ロックウッド」「アーサー・クルダップ」「トミー・マクレナン」「ロバート・ペットウェイ」の4名だった

僕はこのロックウッドの初期の名曲「Little Boy Blue」が聴きたくてこのアルバムを手に入れ、実際ロックウッドの演奏は素晴らしかったが結局その中に入っているうちで一番気に入ったブルースマンがマクレナンだった

時代はもう40年代に入っていて当時シカゴではすでにビッグ・ビル・ブルンジーやタンパ・レッドなどの多くのミュージシャンたちが「バンドスタイル」のブルースそれもかなり洗練され近代化されたスタイルを作り出していた頃だ

その流れにまったく逆行するように泥臭くてワイルドなブルース・・・まるでチャーリー・パットンの時代に遡ってしまったようなブルースを演奏していたのがトミー・マクレナンだったのだ

その演奏は本当に強烈だった 「ウォッシュタブベース」(洗濯たらいに弦を張ってベースの代わりにしたもの)だけをバックに多分ナショナルスチールギターをただガンガンほとんどコード弾きだけで歌う彼の声はしわがれていてまさしくDeep Mississippi の匂いがぷんぷんしていた

ビッグ・ビルにスカウトされてシカゴへ出てきた彼・・・その「田舎者」ぶりは当時のシカゴですでに「都会風」になっていた黒人たちにはショックを与えたようで演奏中に差別用語の「ニガー」を連発しギターを頭に打ちつけられてクラブを追い出されたというエピソードがあるくらいだ

彼は決して大きな成功を収めたわけではないけど不思議なことにそれから半世紀以上も経った音楽の世界にはむしろ彼の影響のほうが残っているような気がする

それでは聴いていただこう 強烈なミシシッピビート まるでパンクのような「WHISKY HEAD WOMAN」

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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