僕の吉祥寺話 48

ある日のことだ、誰が言ったのかは忘れたが吉祥寺に新しくライブのできる店がオープンしたという噂が飛び込んできた そこでその店を訪れてみることにした

場所は吉祥寺駅の西側、井之頭通りと公園通りの交差点のちょっと東南、「いせや」の向かいの狭い道を入って少し行ったビルの地下にその店はあった

表の看板には平仮名で2文字「のろ」と書いてあったのろ旧

地下へ降りる階段を下りドアを開けるとまずその広さに驚いた ペンギンハウスより1.5倍くらいはあり天井もやたらに高い 飾り気のない内装 手作り感溢れる店内、活気が溢れていた 若いスタッフがきびきびと元気に動きまわり、お客もけっこう入っている

「ライブハウス」というイメージを持って行ってみたらそこは完全に居酒屋という雰囲気だった

でも店の突き当たりにはちゃんとステージがあり、スピーカーやアンプなどの機材もちゃんと揃っている ここがまさしくライブもやっているのは間違いなかった(のちに知ることになるのだが音響の環境がかなりよかった)

やがて、背のひょろっとしてちょっと目つきの鋭い一人の人物が僕の前にやってきたかとうさん

誰かが(誰と行ったのかは覚えてないのだが)「あ、彼がシンガーのジミー矢島くんです」と僕を紹介すると目をぎらっと光らせて「ああ、本当~ よろしくね!」とニコッと笑ってくれた この人物がそれから先色々とお世話になる「のろ」のオーナー加藤さんだった

とにかく「のろ」は飲み屋として居心地がよかった

「ぐゎらん堂」は好きだったが、ちょっと狭いスペースに個性やアクの強い人間がひしめいていて、おまけに僕はそこではいつまで経っても「若手」といった扱いをされてた

加藤さんという人はそういうところが全然なくて、僕みたいなまだ”ひよっこ”みたいなシンガーをちゃんと一人前として最初から扱ってくれていた

それに「のろ」にはお酒もつまみも種類が揃っていてしかもリーズナブルだったので、その後僕はのろにばかり通うことに なってしまった のろ

のろでは月にせいぜい二回くらいのペースでしかライブが開かれてなかったが、多くのミュージシャンが出演し、もちろん僕もずいぶんと出演させてもらった

今はペンギンハウスにもよく出てくれている「寺田町」彼もそこによく出ていたそうだし⇒動画

今では伝説にさえなってる「ブルースブラザース」が来日したときそこで「シークレットライブ」をやったとか・・・なかなかライブハウスとしてもすごい歴史があるのだ(下、右でギター弾いてるのは鮎川誠だ)
ブルブラ

今、その場所に「のろ」はない 賃貸契約の更新のときに色々あったそうで、現在は吉祥寺の東側新のろに移転して営業中 店はだいぶ小さくなったがあの看板は今も堂々と存在を示している ライブもたまにやっているそうだ

加藤さんは・・・相変わらず元気だ

続く

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする