う~ん、難しい 今日みたいなライブの様子をどうレポートすればいいのか・・・
音を言葉で説明するのには土台無理がある だからCDやライブがあるわけでまして今日みたいなライブは言葉では説明が非常に難しい・・・なにしろタイトルが「沈黙の音」だもの・・・一筋縄じゃいかない
今日のこのライブを企画したのが誰あろうマスターの亜郎だ
そして、今日のステージの後の壁にはこのイベントを象徴する亜郎がこよなく愛するドイツの画家カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの絵が7枚貼られている そんな環境で今日のライブが始まる
最初の演奏者は マツイ(g)とパーすけ(ds)の二人のユニット ジ・アナトミアズ だ
パーすけがわりとリズムの輪郭のくっきりしたドラムパターンを叩き続ける中マツイのギターはやはり最初は虫が囁くような音から徐々に獰猛になってゆく
今日の彼のギターはどういうエフェクターを使ったのか、ギターのピッキングの音がミュートされ(ボリュームペダルは使わず)オルガンのような音だ その音がドラムがだんだんに烈しくなってゆく中でだんだんと河の豪流のような音に・・・聞いてるうちになんだか眩暈がしてくる・・・不思議な時間体験をしている僕ら
2番目は丹沢亜郎の俳句ユニット 生半可 毎回メンバーが替わるが、今回はなんと藤原愛が参加 いつもの彼女のライブに比べるとわりと明るめのメロディーラインを使ったピアノ 亜郎の俳句といいマッチング さすが俳句では弟子である彼女だ 何句もいいのがあったが僕が一番気に入ったのは「母鯉と 子鯉からまる 青空よ」 これいいなあ
3番目は「ここ掘れ、わん、わん、わん」というユニット 細田茂美(g)、狩俣道夫(fl)の2人のプレイヤーに margaticaという女性のダンスが加わる
細田&狩俣のDUOは今年1月の高橋誼の追悼ライブ以来だが、細田のおよそギターといもののセオリを壊しまくる演奏に狩俣のフルートはときにボイスが混ざったりまるで刃物のようにパーカッシブだったり、それに加えてボイス・・・まるで義太夫のようだ!
そこに margaticaのダンス・・・正確には”舞踏”だろう 非常にゆっくりとした動きをつなげてゆく・・・ダンスをやってる友人に聞いたことあるがこれが一番難しいという 舞台の上にはピーンと緊張感が張り詰める まるで能の舞台のようだ
4番目は照内央晴(p)と川村裕介(tp)のDUO まるで他の管楽器のような音を立てるトランペット そこに容赦なく襲い掛かる照内のピアノ・・・これってディミニッシュスケール?
人間の心の奥底に潜むダークサイドにどんどんもぐりこんでくるようなこれは何だろう・・・
二つの楽器が気がつくと領域のはっきりしない海と空のよう・・・時化の夜みたいな・・・
緊張感を張りつめっぱなしの30分間・・・それは真剣の果し合いのようだ
そして今日の最後 亞弥+本田ヨシ子の二人 亞弥はペンギンハウスにはよく出演しているダンサーだ そして今回初登場となる本田ヨシ子 この人は自分のボーカルの声だけでそれをサンプリングしながらループさせたり色々なエフェクトを使いながら様々な音の世界を創り出す
それは聴いてるととても人間の声ではないんじゃないかという部分とものすごくコントローラーブルな調声で作られるクラシック音楽のようなところがあったり・・・とにかく声だけでこれだけ深い表現ができることに驚いた それに合わさる亞弥のダンス・・・これも静止画像のような瞬間の連続・・・緊張感とまるで能楽のような静けさが同居する・・・まさに「沈黙の音」だった
いやあ・・・今日の出演者どれも凄くて素晴らしかった
僕も今日は沈黙しているつもりだったのに・・・喋りすぎてる(笑)
高円寺ライブハウス ペンギンハウス