僕の八ヶ岳話 6

それは・・・水

浦安は江戸川の最下流にあり多分そのちょっと上流にある「金町浄水所」で作られた水道水が使われてたと思うのだけど、とにかく不味かった

飲んだり料理に使ったりする水は浄水器を使えばなんとかなったのだけど困ったのが”風呂”

なにしろ新しく換えたての水で沸かしたのにまるで「三日目」のお湯のような匂いがしたのだ

「この水・・・どうしようもないねえ~」

他の暮らしは本当に快適で気持が良かったのだけど、それだけが残念だった

ところで、その当時僕はある警備会社で働いていた 入社して最初は現場仕事をしてたのだけど、そのうちなぜか本部の「司令室」勤務を任されることになった 「司令室」というのはお客様(主に建築会社と土木会社)から「警備員を明日の○○の現場に○名よこしてくれ」という依頼を受け、数百人居る隊員をそれぞれの現場に手配するというものだ

時に現場の人手が足りないと自分が現場に出ることもあった
そんな中の1つ、埼玉の上福岡にあった「HONDA」の教育施設の夜警の仕事が回ってきた それは夕方から朝まで詰め所に居て夜中も何時間に1回か全施設を見回るというもので、夜中に無人の広大な施設内を周るのはちょっと怖かったけど、建築現場に比べれば肉体的には楽な仕事だった

そんなある日・・・朝もうすぐ交代の時間になる頃、僕の居た詰め所のすぐ近くから異様な声が聞こえてきた 詰め所のすぐ裏は小路を挟んで林になっていた それはとてつもなく大きく「キーッ!!」という動物の声のようだった 近付いてみると林の仲に段ボール箱が置いてあってその中に子猫が居た まだ生まれたての眼も開いていない子猫だった

「ここにこのままにしておいたら確実に死ぬ」・・・そう思った僕は仕方ないのでその子猫を抱き上げるとタオルで包み僕のバッグに入れ、ちょうどその日は勤務が終わってそのまま家に直帰だったので、アパートに連れ帰ったのだ さっきまであんな大声で鳴いていた子猫は不思議とぴたりと静かになった そのまま家に連れ帰るとかみさんに見せた 彼女は

「まあ、こんなに小さい子猫!どうしよう・・・まずミルクをあげなきゃ!」

その日はとりあえず家にあった牛乳を飲ませ次の日、僕はペットショップへ行き子猫用のミルクと哺乳瓶を買ってきた もう食事の世話からトイレの世話まで・・・なにしろ「新生児」なのだ ちゃんと生き延びてくれるだろうか? 僕らは気を揉んだ

子猫はあまり美しいとはいえないミケで顔もイマイチだったが、とにかく僕らは必死に育てて可愛がった その甲斐があって彼女は無事にすくすくと育っていった
僕らは彼女に名前をつけた 「テンに似てるから”テンコ”にしようよ」というかみさんのアイデアで名前は「テンコ」になった その後彼女は僕らとともに数奇な運命をたどることになるとは・・・そのときの僕らも知らなかった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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