僕の八ヶ岳話 13

二泊三日の「バケーション」を終え僕らは帰路についた 車窓のむこう、段々小さく遠くなってゆく八ヶ岳を眺めながら僕の心の中にはある”決意”が生まれつつあった

三日ぶりに戻った浦安のアパ-トは熱気と湿気がこもってむんむんしていた 窓を開けても外から入ってくる空気も似たようなものだった 浄水器を通した水は匂いは無いが同時に味も無かった ただのH2O・・・

明日からはまたあの満員電車に乗って仕事に通うのだ 窓の全く無い「司令室」で一日電話と机と派遣用のパネルボードを眺めて・・・ 会社で唯一見晴らしのいい屋上に上っても見えるのはビルと道路と薄ぼやけた日光が射す空

「どうしよう・・・」

僕の決意はほぼ固まっていた ただ問題は・・・
かみさんにどう言おう 東北の田舎町から東京へ出てきて河一本隔ててはいるが限りなく東京な土地に住んで、東京の仕事場で働いているかみさん・・・ 週末には2人で銀座や神田の飲み屋に行ったり、デパートでちょっとおしゃれなインテリアを見たり映画館に行ったり・・・目一杯東京での暮らしを満喫している彼女にどう言おう・・・

そしてある晩、食事が終わったあと僕はついに意を決して彼女に打ち明けた

「あのさ」
「何?」
「あのさ・・・俺清里に住もうと思うんだ」

そのときの彼女の反応はほぼ僕が想像してたとおりだった 目が点になる・・・の逆で目も口も開いたまま・・・一瞬何を言われたのか事態がわからないという顔になった その時間を少し経たあとこう答えた

「何言ってんの! 私あなたが東京で一緒に暮らそうって言うから出てきたんだよ! やっと都会での生活が安定してきて”さあこれから”という時なのに何!それは~!」

かみさんは元々声が大きい それがさらに声を張り上げたので僕はちょっと焦った まあ、こういう反応になるのは大方予測がついてたけど、彼女の「東京を離れる」ということに対する拒否反応がこれほど強いというのは僕にも予想外のことだった

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