僕の八ヶ岳話 47

さて、正月も過ぎて1月の下旬・・・かみさんのお腹は順調にどんどん前にせり出してきていた 病院での診察では「もう今月中にも」という話だった ところが”予定日”を過ぎてもその兆候がない 病院は甲府市内にある大型総合病院だった

ある日、もう一度検診をしてもらいにかみさんは独り甲府へと出かけていった

医師の診断では「あともう数日」ということだった 帰りがけ、街中も久しぶりだった彼女はまだ時間があったので市内にある映画館で映画を観て・・・それから家に戻った

その夜、僕は彼女から状況を説明されて「そうかあ、まだちょっと先かあ」と思った

次の日は休日だった 朝食を済ませお茶を飲みながら僕は考えた お天気もいいし今日はしばらくやってなかった車の洗車でもするか・・・ 庭に出て準備を始めたときだった かみさんから声がかかった
「なんかおかしい・・・どうも始まったようだ」
すぐさま僕らは支度をした 清里の家から甲府の病院までは車で高速を使っても1時間くらいかかる とりあえずはかみさんの入院用の身の回りの品を揃え戸締りをし車に乗り込み甲府の病院へと向かった

病院に着くとすでに連絡をしていたので産科の待合所に通された まず医者が彼女を診察する

「うんだいぶ進んできているから・・・今日生まれるでしょう」

当時彼女にはちょっと心臓に問題があったので病室には産婦人科の医師と看護士、さらに循環器科の医師と助手がついて随分と大掛かりな体制になっていた

しばらくすると「陣痛」がはじまった 僕は男なのでそれがどんなものなのかはいまだにわからないが、それはある間隔をもってやってくるらしくて最初は長い間隔で陣痛自体も短く軽いが、次第に間隔が短く痛みも長く重くなってきた そういうときにその痛みを少しでも軽減させるために「ラマーズ法」という呼吸法がある それは短い呼吸と長い呼吸を組み合わせたもので音で表現すると「ヒッ・ヒッ・フ~」という風になる かみさんはベッドに横向きで寝て陣痛が来るとこの呼吸を繰り返す 僕は今回は「立会い出産」をすることに決めてたのでずうっと傍に付き添って陣痛が来ると「ヒッ・ヒッ・フ~」とやるかみさんの背中をそのリズムに合わせてさするということをずうっと続けていた 気がつくと僕まで一緒に「ヒッ・ヒッ・フ~」・・・とやっていた

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