僕の八ヶ岳話 58

家に戻りまずかみさんにこの転職の話をした その内容に彼女も少し驚いたようだが、僕が工場勤務でかなりストレスを溜めているのを知ってたから気持ちよく賛成してくれた
その次の日職場に行き上司に退職願を出すとかなり残念がられて引き止められたが、国の親が病気になってその面倒を見なければいかないという、良くありそうな理由を言ってなんとか円満に退職することができた 本当はあと一ヶ月我慢すれば夏のボーナスが出るという時期だったのだが、僕にはもっと大事なものがあった

新しい職場へはその数日前に挨拶がてら下見に行ったのだが、今までの職場とは雲泥の差があった そこは八ヶ岳の麓でも最も標高が高く、広大な裾野が広がっていてまるで日本じゃないみたいだった 新しい職場となるゴルフ場はその裾野の一番端、八ヶ岳を正面に見る小高い山の麓にあった 周りはもう自然が一杯 景色も空気も素晴らしい あの一日中聞こえていた大型機械の騒音や機械油の臭いもここには無かった

さすがに通うのはちょっと大変だった 韮崎からだとほぼ1時間かかる ただ、毎日通うというわけでは無かった 僕が勤めることになるロッジでフロントマンは「ナイトフロント」という夜勤勤務を任されていた 夕方の5時に出勤 そして翌朝の10時に日勤者に引き継いで退勤・・・その次の勤務は翌日の夕方・・・それを2回やると1日休み、だから出勤するのは週に2回で済むのだ これはなかなかいい労働条件だった ナイトフロントといっても夜中中起きてるわけではない お客のチェックインもすべて済み夜2時くらいになりロッジ内のバーから上がってきた伝票をチェックし、宿泊記録をつけたら仮眠・・・朝の7時くらいまでは眠れた それも以前の警備会社のときと違って、ちゃんとベッドもあったしフロント事務所奥には風呂まであったのだ なかなかいい職場環境だった そして僕のフロントマンとしてのキャリアがスタートした

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