僕らの北沢話  36

鍵束を持って店を出る不動産屋の人について店を出る 行く先は・・・なんとすぐそこ・・・店からほ005んの歩数にして30歩ほどのところにその物件はあった

しかし、そこには今まで見たことの無い奇妙は光景があった 「地下の店舗」というのできっと何かのビルの下なんだろう・・・そう思ってた ところが案内された場所にあったのは一軒の木造建築物 二階建ての瓦屋根の小さめな住宅のような建物だった その一階部分の奥は店舗になっているようで小さなスナックの看板が出ていた その入り口の横に小さめなシャッターがあった 不動産屋の人はそのシャッターをガラガラと開けた するとその奥に空間があり、かなり狭い階段があり確かに地下に向かって降りていた

不動産屋の人が先に降り僕らはそれに続いた 人がすれ違うのもちょっと難しいほど狭い階段を降りると木製の扉がありそこを押して開くと中に入れた

その中の様子・・・それはちょっと僕らの想像とはまるでかけ離れた、いや、きっとだれも想像がつかない光景がそこには広がっていた

まず天井がやけに低かった 身長180センチの僕だと腕を肩よりちょっと上げたくらいで天井に手が届いた そのスペースは天井も壁も床もすべてコンクリートでできていた 広さは・・・店のチラシには約4.5坪とあったが、天井が低いせいかなんだか狭く感じる スペースは入り口から奥のほうに向かって細長く幅は3.5メートルぐらいだった そして僕が「想像がつかない」と言った理由がひとつあった それはそのスペースの中央部分に太い・・・直径50センチぐらいはありそうなコンクリートの丸い柱がそれも2本・・・どーんと立っていたことだ

それはまるで地下鉄の駅の構内をすごくスケールダウンしたような不思議な眺めだった 天井が低f0126829_9163154いところを除けばスペースはまあまあの広さだった ただ、その空間の真ん中にでーんとそびえ立つ2本の柱がいやに存在感を発揮して威圧的だった 第一それは「ライブをする」という条件にはどう見ても邪魔な存在に見えた

ただ、僕はこの空間に入ったときに感じたなんとも言えないこの「非日常性」が充満する空間に妙に魅力を感じていた それはなんていうかちょっとアバンギャルドなアート作品を見ているような・・・そう、このスペースは「店」というよりはひとつの「作品」のように見えたのだ

実はなぜこんな空間があったのかは、それからだいぶ後で知ることになるのだがその仰天の真相についてはまた後日お伝えしよう

そして僕らはちょっと狐につままれたような気分でその空間から地上に出た 表に出るとそこは高円寺のどこにでもあるような日常的な光景が広がっていた なんだかタイムトラベルをしてきたような気分だった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする