心が溢れる       27日

今日のライブはなんか面白かったな いつもペンギンハウスのライブは「かなり」面白いが、今日のは格別な感じがした 2組の初登場があったからかも知れないが それだけではない
初登場の1組目は とかげのわかば という名前の女性シンガーソングライター 「とかげのわかば」という名前のわけは「とかげ」というバンドの「わかば」さんということなのらしい さて、彼女の演奏だがYOU-TUBEでちらっと見た感じではなんか暗そう・・・というイメージくらいだったが、実際生のステージに接するとなんとも独特の歌世界を持っていた 暗いというよりは「不条理劇」のような不思議な舞台を持っている人だ 声も女性というより少女か少年のような感じで静かに歌うと思うと突然激高するような場面になったり本当になんか映画とか観ているような気分になる 僕はちょっと吉田雄吾と重なるような気がした

次の初登場者は 村田活彦という詩人 この人は自分で制作した音源を使って詩の朗読をするというパフォーマンスをするのだが、その読み方がすごくリズミックでダンサブル(?) ちょっとラップのようなんだけど矢張り「ポエムリーデイング」なのだ それにしても曲をバックに「○○子~!」と叫ぶ詩はちょっと聴いてて心がムズムズした 「○○子」は僕のかみさんの名前だ(笑) ペンギンハウスには「たたずみ」とか「生半可」などのポエムを主体にしたユニットが居るがまた「新手」の詩人が新たな表現を持ち込んでくれた これは面白い

3番目はここの常連となっている山田庵巳の登場だ 前の二人が「詩」の心をたっぷり含ませたパフォーマンスを披露してくれたが勿論この人もその世界をどっしりと抱えてそれを8弦ギターの悪魔的とも言えるような奥行きの深い音に乗せて見せてくれる 今夜は久しぶりにあのミケネコが出てくる「赤い月」をやってくれた 僕はこの曲を聴くと泣きそうになるんだよなあ あの別れの部分がたまらないねえ・・・まあ、ネコ好きなのもあるのだけど

ここまで「語る」「歌う」人ばかりが続いたあとでこの人はまったく寡黙のようだが、それは違う 無言のままピアノの前に座ると体全体がピアノと向き合う そこから彼の演奏は全身全霊でピアノと対話というより格闘するように・・・その修験者のような姿は聴く者の居住いを正すような不思議な浄化作用を持っている・・・おっと、まだ名前を言ってなかったね 石田幹雄だ 彼のピアノは(というか彼自体が)一切言葉を持たずにそれ以上のものを聴く側に与える そして今日出演した全員が言葉というより「魂(soul)」が体一杯で、そこから溢れ出てくる人たちばかりだった 言葉(音)は心なんだよね そう思わされた今夜だった

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜は・・・

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