幻の雪       28日

今日もいつもどおりに昼過ぎに目を醒ました 別に僕は怠け者なわけじゃない 深夜1時までは仕事 家に帰って風呂入って飯食って寝るのは大体明け方近くだからだ 表に出ると柔らかな陽射しが降り注いでいた 今日は穏やかないい陽気だ・・・だから知らなかった 今朝東京でも雪が降ったってこと あとで知らされてびっくりしたのだ 僕が起きたときには姿も形もなかったから 少し日足が長くなったような冬空の下、いつものように歩いてペンギンハウスに向かう 気のせいか空の色も少し変わってきたかも
さて、今日のライブはまずソロミュージシャンから始まった あの青空をそのまま運んできたような男SHOTGUN BLADEの登場だ ステージ中央にまっすぐ立てたマイクスタンドに向かって彼が立つ 足の置き場もいつもきちんと決まっている リズムカッティングだけで出来上がっている彼の演奏だがその迫力とダイナミズムとリズムのキレの良さで少しも不足感がない 考えてみればこのスタイルで一貫しているのは彼だけかも知れない そして歌 彼の歌はすべてが叫びで出来上がっている 全力で叫ぶ 全身で叫ぶ それがSHOTGUNだ 今日も新曲を1つ 常に前進する男だ

2番目は貴重なユニットだ 何が貴重ってこのBLUESMARKETはペンギンハウスの前身の猫屋敷時代から出演をしていたユニットだからだ もちろん途中で大きなブランクがあったのだが35年ぶりに最近また活動再開したのだ メンバーはボーカルの地味KENとタカハシ それにドラゴン板谷のハープと寺尾敬博(b)が参加していた  この充分にこなれた熟年オヤジコンビが醸しだすブルースは充分に熟成された味で本当に気持ちがいい なんかゼイタクな時間だった

そして、3番目はこの3人 ハラ☆タカシ(g)大橋とおる(b)福島紀明(ds)のDBS3だ このベテランインストトリオはとにかく業師揃いだし、その演奏はもう炎が噴出すほどに凄まじいのだが演奏の間のハラのMCには必ずほかの2人が突っ込みを入れ「ああ、その話知ってる」とか「ところで、俺はさあ」とかなんだか雑談なのだが、ふと気がつくとこの「雑談」がお互いの呼吸を計るメジャーになってるのかも知れない

そして最後はまたソロミュージシャンだ ピアノソロの石田幹雄 先月は僕らと一緒にライブそしてくれたプレイヤーだ それにしても彼のプレイを聴いてると「よくぞ僕らとやってくれたものだ」と思ってしまう 孤高のピアニストは今日もひたすらピアノに向き合ってる その深く深く掘り下げていった先の闇から光るものを見つけてくる・・・そのキラキラしたものは何なんだろう ふと僕は今朝見ることがなかった雪のことを思っていた 正六角形の結晶がひらひらと舞ってくる そして、静かに地面に積もる 山奥の誰も見ることのない雪・・・静かに降り積もる雪・・・幻の雪

・・・そして高円寺ライブハウスの夜はふけていった

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