空がずっしり重たい 強い風がまるで水滴のように体にまとわりついてくる 梅雨の真ん中の今日 空は今にも泣き出しそうだ 変なSFチックな夢を見て目を覚まして、なんだかそれを引きずりながら店に向かう 地下のペンギンハウスのシャッターを開け薄暗い地下への階段を降りてゆくと「昨日の夜の空気」が出迎えてくれる そこで、モードが仕事に切り替わる そうそう、あそこをチェックしとかなきゃ・・・気になるところから仕事を始める
さて、今日のライブの話をしよう いかにもペンギンハウスらしいライブだった 今日最初の出演者はペンギンハウスには2回目の登場 若い和太鼓奏者の鼓次郎だ エネルギーとパワーだけでなく今の人らしいすごく柔軟な思考感性で「和太鼓」という伝統楽器を面白いところへ持っていく 前回はパソコンを持ち込んだが、今回はループエフェクターなどを使った演奏で邦楽とはまったく違うコンセプトに挑戦していた こうやって「伝統」とかいうものにもどんどん新しいものを吹き込んでゆく彼のようなミュージシャンはいいね それにしても和太鼓の音・・・と言うより振動はすごいね 演奏中僕の目の前に置いてある小さな時計がカタカタと動き回ってる そのうち上から何か落ちてきた 棚の上にあった小さな箱だが、ハードコアパンクやノイズ系でもこんなことはなかったよ
2人目の出演者はソロシンガーの鈴木知文 前回と同じ上半身裸に真っ赤なタオル(?)だけ首に巻いてあと赤をベースにした野球帽 そしてアコギをばりばり弾きながらそのドスのきいた塩辛声でがなるように歌う リハの時に思ったんだが彼の演奏は本当に空気中の湿気を吹き飛ばしてくれそうだ 思い切りダミ声なんだが聴いてて気持ちがいい そして、前回も思ったが彼の弾くアコギは特にフィンガーピッキングのときに素晴らしく粒立ちのいいコンプレッションが利いた音を出す 見ているとフラットピックは使っていなさそうで前半はサムピックを着けてたが後半は指弾きのみ これはきっと「押尾コータロー」なんかみたいに「スカルプチュアー」でも塗ってるのかな・・・すごく気になって終了後彼に聞いてみた 「いやあ何もやってないですよ 爪そのままで」見せてもらった ごつごつしたタフなその手はギターと格闘し続ける男の手だった
3番目に登場するのはジプシーパンクユニットのHOWLING ROCK A GUWRRILLAだ 僕は随分久しぶり・・・前回2回ぐらい僕の休みと重なってしまった そして久しぶりに再会した彼ら・・・ところが今日の彼らはなんとvo/gとvo/bの2人だけ どうしたんだろう、僕がご無沙汰しているあいだにバンドの内部分裂でも起きたのか!・・・などと心配したら、なんとリーダーの彼が他のメンバーにライブの日程を間違って伝えてしまっていて今日の演奏に参加できないメンバーが多数・・・それで今日はこの編成になってしまったそうだ(笑)いかにも彼ららしい それでもギターとベースだけでもあの切れ味の鋭いジプシービートは充分に出まくっていた 逆に「怪我の功名」というか新鮮だったな ハウロカファンの僕としては久しぶりに彼らの演奏が見れただけで嬉しかったし彼らも喜んでくれた 「ジミーさん、来月は僕らのときに休まないでくださいね」・・・とクギを刺された(笑)
そしてこれだけ「濃い」出演者が出揃った今日の「仕上げ」は彼ら 東京セッションだ 最近口ひげを蓄えたリードボーカルのホシカワは今日も迷うことなく聴く者を極上の「ハードなロック」の世界へ拉致してゆく リハのとき試していた新しい歪みエフェクターもすごくいい! 今日の「演目」はなんか実在の人物の名前が次々に出てくる面白い「ロックオペラ」になっていた そして、今日写真を撮っていて気がついたのだが、相方のマツイは常にホシカワの方を見ているということだ 彼の正面を向いた写真をなんとか撮ろうとカメラを構えてみたが、ご覧のようにステージの彼は常にホシカワの方を見ている その些細な動きや兆候も見逃すまいとマツーも集中しているんだなあ・・・そんなことを今日初めて気がつく僕もニブいね(笑) とにかく最高のコンビネーションでのみで出来上がるのが東京セッションなんだね それにしても今日の出演者は4者4様で、これこそペンギンハウスのライブだなあ 遅くにやって来てくれたたこボーに会えたのもおまけにしては嬉しすぎる出来事 たこボーはやっぱりたこボーだな・・・さあ、今からこのライブハウスから高円寺のストリートを歩いて帰るぞ 雨、降ってないよね
高円寺ライブハウス ペンギンハウス