海の底地の底    23日

高円寺の阿波踊りがいよいよ明日と明後日に開催される 毎度のことだがこの2日間は普段はロウテンションな高円寺が恐ろしいほどのハイテンションと人ごみと混雑と大音響に包まれる

もうすでにその前日の今日から「前夜祭」と称して純情商店街では阿波踊りのパレードが行われていた もうすでにタイヘンな混雑なのだ

タイヘンな混雑・・・といえば今日トップでペンギンハウスに出演する和太鼓の鼓次郎も車で高円寺に向かっていたのだが、中央道の上り車線の渋滞にみごとに捕まってしまった

彼から電話が来たのがもう6時半ごろ 「すみません、まだ府中あたりなんです」

ああ、それはまず定時での到着は絶望的だ それでもとにかく時間を押して彼を待つことにした ようやく到着したときはもう開始時刻を30分近く過ぎていた それでもちゃんと待っていてくれたお客さん・・・ありがたい 自分の出番を遅らせてくれた対バンのみなさん ありがとう

さて、セッティングももどかしく鼓次郎の演奏が始まる 気持ちの切り替えとか大丈夫?・・・とちょっと心配になったが、バチを握り太鼓の前に立った彼はもうあのいつものきりりとした表情になっていた

あとはもう怒涛のようなリズムと打音の嵐・・・今日は持ち込んだ太鼓の数も多い それらをまるで「千手観音」のようなバチさばきで打つ 今日気が付いたが、彼の打つビートは16がメインだ それがほかの和太鼓奏者と違う点かも知れない でも最後のほうでは「音頭」や「阿波踊り」みたいなリズムもちょっと出たな~ とにかくやれてよかった お疲れ様

2番目の演奏者は「テンション」っていう部分で言ったら恐ろしく低い?・・・いやいや、このなんだか「朝ごはんちゃんと食ったか~」と突っ込みたくなるような脱力感とゆるさがなぜだか気持ちがいいvo/g ,vo/g ,vo/dsという3人編成のハツ だ なんていうか ちっとも頑張らない・・・万が一頑張ってたとしても意地でそれを見せまいとするような・・・そして、誰がリードボーカルともいえないような歌のつながり方・・・コーラスのハーモニーが気持ちいいんだよね 二日酔いのときに聴いたらいいだろうなあ・・・彼らもこの場所が気に入ってくれたように空気がいい感じでゆるんでる
あれ!僕もどこか緩んでいたようだ すっかり写真撮るの忘れてた!ゴメン で・・・前回ので勘弁

さて、気を取り直して・・・3番目の演奏者はゆるいのかハイテンションなのか・・・不思議な緊張感と揺らぎを持ってステージに現れた2人 三浦陽子(p)内田典文(b/三味線)

なぜかステージ上で背を向け合って演奏する2人 三浦のピアノソロが始まる そのうちどこからか「ブツブツ」言うノイズのような音が・・・やがてそれが段々大きくなって内田のベースの音が割り込んでくる 不思議な組み合わせのまま演奏はどこかへと動き出す 途中で思い出したかのように内田が三味線を手にする・・・摩訶不思議 この音はどこへ行くのか・・・なんだか深い海底を目指しているような 漆黒の少し手前の濃い藍色・・・かな

そして最後 実に予定より40分遅れで登場するのはピアニスト 石田幹雄 だ

「お待たせしました」と僕が言うと ニヤっとして「いや、いつもぐらいですよ」・・・と 言われりゃそうかも知れない(笑)

そこからステージに向かいいつものように椅子や位置のセッティングを調整すると僕の方へ合図を送る そこからは彼のまた孤独な闘いが始まる 三浦陽子が「海底」なら石田幹雄は「地底」を目指すのだろうか・・・今夜も深く深く・・・音の深淵をどこまでも掘り下げてゆく

そこから響いてくる音は時々人間がピアノで出しているのじゃないんだろうか・・・そう思えるくらいのすごい音の塊がペンギンハウスでは一番遠距離で聴いている僕のところまで押し寄せる

それは不思議に魂を浄化してしまうようで・・・昨日からなんだか「もやもや」していた僕の心がすっかり晴れてしまったよ さあ、明日明後日は阿波踊りだ 高円寺のライブハウスもちょっと意地を見せなくちゃね

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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