少しずつ、秋が近付いているのだろうか・・・夜になっても相変わらずじとっと暑い高円寺
そして街の商店街はいよいよ明後日に迫ってきた「高円寺阿波踊り」の準備になんだかわさわさとした雰囲気が高まってる
そんな中・・・今日のペンギンハウスライブはこれまた「これこそペンギンハウス」と言えそうな”コア”な出演者ばかりになった
最初の演奏者は 三浦陽子カルテット メンバーは古池寿浩 (tb)、斉藤(社長)良一(g)、SACHI-A (ds)、立岩潤三(per)、三浦陽子(p)の5人 実はこのフルメンバーが揃うのは久しぶり
三浦さんに言わせればこのユニットは「長距離バンド」だそうで、メンバーの何人かは東京から離れて住んでいるので全員集まるのがタイヘンなんだそうだ
それもあってか今日はメンバー全員が演奏をじっくりと噛み締めながら・・・という感じがした 5つの音がそれぞれ自由な曲線を描いているようでそれが立体的に交差しながら膨らみのある音の綾が出来上がっていく 客席はその現場を目撃しているわけだ
2番目は「ハーディーガーディー」という珍しいヨーロッパの民族楽器を弾くプレイヤーTOMOが登場だ このハーディーガーディーという楽器はバイオリンのように弦を擦って音を出すようになっていてそれにキボードのように音階を出すボタンやドローン音を出す仕組みとかなかなか複雑な構造をしているのだが、それを自由に操りながらどちらかというと東ヨーロッパや中央アジアのようなスタイルの曲を演奏する彼 ストンピングペダルを使ったり「ホーメイ」を入れたり・・・かなりインターナショナルなサウンドそしてダンサブルな曲を演奏している これは思わず身体が動いてしまうよなあ
3番目の演奏者はギタリストの ハラ☆タカシ そう、あのDBS3とEMISHIのハラだ その彼のソロバージョン・・・実はEMISHIをずっと一緒にやっていたドラムの奥瀬健介が家庭の事情で関西へ引越し・・・それで、今回はハラのソロ演奏となったのだ
EMISHIのときと同じように一曲ずつタイトルを言ってから演奏する EMISHIでもかなりフリーな演奏だった彼が今日はさらに制約のまったくないステージでどうするか・・・そこはギターという道具の隅々まで知り尽くしたギタリスト・・・もうそのエッセンスの絞り具合が尋常じゃない ギターのどの部位だろうが食べつくす 絞られきったギターにはもう何も残らなくなる・・・のかな?
そして、今日最後の出演者・・・5月4日の「沈黙の音」以来の出演となる 亞弥+本田ヨシ子 だ
本田ヨシ子の不思議なボイスパフォーマンスが創り出す音の「舞台」の中で亞弥のダンスパフォーマンス この本田という人のボイスがまた「ループ」とか色々なエフェクトを使って実に深いそして幻想的な世界を創り出す 幾重にも重なった彼女の声は幾つもの「倍音」を生みながら時には怒涛の波のように聴く者に押し寄せる
そのボイスに本当に動かされるマリオネットのように現れた亞弥のダンスはゆっくりとステージの空間にいくつもの線を引いてゆく その二人のパフォーマンスにもう「1人」が加わる
それはステージ下手の床に置かれたライトが生み出す亞弥の影だ
その影がときに巨大に膨れ上がりときに亞弥の身体に貼りつくように動き時には本田ヨシ子に覆いかぶさる それを見ているうちになんだかどちらが「実像」なのかわからなくなってゆく
そうか、僕らはもしかして影の思うままに動かされているんじゃないか・・・そんな気にさせる
不思議な不思議な晩だ それまでの演奏者の音がすべてひとつの糸の上にぶら下がっているような・・・それらの音までが影の仕業だったりして・・・ね
高円寺ライブハウス ペンギンハウス