二日間家に帰ってきた 7月も下旬になると八ヶ岳もさすがに真夏の
景色が広がる やっぱり涼しかったねえ
さて、休み明けの最初の今日 ペンギンライブはもっとも「濃い」面子ばかりが揃ってなかなか重厚な一夜になった
最初の出演はあさのおよぐ いつもの我独り行くロックンロールは全開全速力だ 気がつけば訪問販売やホームレスなどがテーマになった日常的な断面なのだが、そこから全力でどこかへ走り去ろうともがいているそのもどかしさと苛立ちが彼の感覚を「パンク」へと向かわせる 時々コケそうになりながらもおよぐは泳ぐ・・・いや走る 今日の彼の勢いはなぜかほかの出演者にも伝染したようだ なんだかパンクな一晩になりそうな予感
2番目の出演者は本番ギリギリにステージ入りしたINISIE 常にマイペースな男だ いつもと同じようにアンプを自分の真横にセットし音量やエフェクトの効き具合を確かめるとすぐに演奏が始まる 彼のギターはオーバードライブとデｲレイを組み合わせて音の「皮膜」を重ねてゆく 一つ一つは薄かった音が重なることで大きなうねりを生み出す 時には大津波のように音が巨大な壁になることも 深いリバーブの奥から響いてくる歌はそれだけの深さの向こうからも悲痛な生々しさをこちらに直接届けてくる 今日も歌った「すかんぴん」や「私たちが望むものは」長い時代の壁を乗り越えて押し寄せてくる 誰もこれを止められないだろう 彼もやはり怒る青年だ
大津波の歌は次に登場する羽賀和貴の持ち歌だが今日の彼の演奏はいつもと違う表現だった どちらかというと少しポップなテイストを持っているこの曲が今日はなぜか妙に重々しく深く沈んだ調子の声で歌われた サラサラに伸びてたマッシュルームヘアをさっぱりと短髪に変えた外見だけではなく彼の歌世界もどこかで変化してゆくのだろうか 毎回何か違ったことをやる彼だから今回も何か企んでいるのかな・・・気がつけばなんだかパンキッシュな表現 自分の横になぜか一列に並べた椅子とフロアータムが気になる 結局何もしなかったのだけど
最後にパンクのたすき（そんなもんあったのかい！？）を引き継いだ東京セッション 今日の演奏の最初はわりと静かに始まった 遠くで潮騒が響いているような・・・それが風に乗って少しずつ迫ってくる 段々と巨大化してゆく ある一定量に達したところでそれが一気に溢れ出す そうなるとこれはもう下り坂を走り出した暴走列車のように止めようがない 40分の演奏時間はきしむレールと車輪が生み出すような激しい金属の叫びのように甲高く吼える2台のアコギ やがてその中に投げ込まれる呪文のような言葉たち 深い意味などはもう必要としない たった一つの言葉でも加速の勢いがついたものは恐ろしい破壊力を作り出す 誰だ！こんなパンクの流れを作ってしまったのは・・・およぐ？・・・いやいや それだけじゃないんだろう 誰もが怒りを感じても不思議ではないこの世の中 まだまだパンクが引っ込んでいるわけにはいかないんだろう
・・・こうして高円寺ライブハウスの夜はふけていった・・・
