こんなこともあった ある日、修子が「今日はおにぎりがいい」というので確か梅かシャケか何かを入れて数個のおにぎりを作ったのだ
その晩・・・修子が帰ってきてから僕にこんなことを言った
「あなたが作ってくれたおにぎり・・・むちゃくちゃ固くってお店のホステスさんに１コあげたら”先生すごく握力強いんですね！”と言われたわよ まさか他人に作ってもらったとも言えず適当に受け答えたけど、わたしとんでもなく力持ちだと思われちゃった」
言われて僕は初めて知った 「おにぎり」というのは適度な圧力で崩れない程度にふんわりと握るのがコツだということを・・・これは寿司の「シャリ」でも同じこと
それを僕はまるでプレス機のように思い切りの力をこめてもう飯粒が原型を留めなくなるくらいまで握りつけてしまったのだ（笑） 今だから笑って話せるけど当時はそんな失敗談ばかり
そんな僕の作る料理のなかで修子が特別にお気に入りの一品があった
いや、これは厳密に言うと「料理」というのとはちょっと違うのかも知れない どちらかというと「おやつ」に近いものだと思う
どういうものかというと作り方はカンタン！ プロセスチーズを拍子木切り（四角い棒形ね）に切りミルクで溶いたホットケーキミックスをまわりにからめて油で揚げる・・・それだけ（笑）
似ているといえばよくコンビニなどで置いている「アメリカンドッグ」あれのミニチュア版だと思ってくれればいい
それにケチャップなどをつけたやつを彼女は「今日もあれがいい」・・・とほぼ毎日僕に作ってもらって仕事場に向かっていた
つい先日その話をしたら「懐かしいねえ・・・毎日職場に向かう車の中であれを食べていたよ 毎日食べても全然飽きなかった」
今思うととてつもなく高カロリーなメニューだったが当時はいくら食べても修子はほっそりとしていた それだけ仕事で使うエネルギー量がハンパじゃなかったのだろう
そのフードは僕のあだ名をつけて「○○揚げ」という名前で呼ばれていた
○○・・・は企業秘密なので公開はできません・・・念のため
さて、そうやって必死に資金稼ぎのために明け暮れる毎日・・・気がつけば「アラビアパーティー」も「ツッパリング」もまったくやることは無くなっていた
今思えばあの遊んでばかりいた「モラトリアム」な時期があったから、その後にいやというほど襲ってくる過酷な日々を耐え抜くことができた・・・今でも僕はそう思っている
高円寺ライブハウス ペンギンハウス
