この日、僕が一番行きたかった場所 それは動物園の一番北西の隅にあった
ところが、いざその場所に近付くと・・・そこには何も無かった ただの芝生の空き地が広がっているだけだった 僕はショックを受けた そこにあるはずのものが全く消えうせていたのだ
そこにはかつてはこういうものがあったのだ
「熱帯鳥温室」・・・１９６２年に建造されてそれからずうっとこの場所にあったのに・・・
ここはその名前のとおり巨大な温室だった 高さは１２メートルくらいあっただろうか 中に入るとそれこそ「うっそうと」した熱帯の樹木が生い茂りその木々の間を色々な見たこともないような熱帯の美しい鳥が飛び交っていた まるで熱帯のジャングルがそのままそこにあるような場所 他所の温室と違って出来た当時はモダンな建物で「リゾート施設」っぽい造りだった 日当りがよくて暖かいので僕は真冬にここに来て２階のテラスのベンチに座ってボーッとその風景を眺めているのが好きだったのだ
いつ無くなったのだろう 園の職員さんに訊いたら２０１３年の６月に閉鎖になり取り壊された 理由は老朽化のためだという 知らなかったなあ・・・確かにかなり古びてはいたけど残す手段は無かったのかなあ 残念！
動物園の外から見るとこんな眺めだった 建物にはツタがびっしりと絡んでいたっけ じつはここから１００メートルくらいのところに僕の生家がありこの温室は家からいつも見えていたのに・・・色々なものが消えてゆく最近の吉祥寺だ
消えたといえば園の中にある子供遊園地 まだ色々な遊具が残ってるが、ここに昔は小さな観覧車があったのだ 高さは１０メートル足らず それでも最上部までいくとなかなかいい眺めだったのだが、これにはあるエピソードが付いている
実はこの写真に写ってる遊具のすぐ後は塀で、そのすぐむこうのアパートに友部正人が住んでいたことがある その引越しの時僕も手伝いに行ったのだが、引越し作業が終り手伝いに来た友人たちとでそのまま飲み会になったその夜・・・酔っ払ったみんなでその公園の塀を乗り越えて夜中の公園に侵入したのだ もうその時はサル山のサルや色んな動物たちが大騒ぎ、その中皆が止めるのも聞かず友部はその止まってる観覧車によじ登って一番上まで上がってしまったのだ そのとき僕は思った 「こういうやつと友達でいるのはヤバイ！」
もうずうっと昔・・・まだ吉祥寺もヤボったい街だった頃の話だよ
