しばし忘れて        29日

さあ、阿波踊りも終りなんだか妙にがらーんとした高円寺の街・・・明日にはまた大きな台風が接近してくるという嫌なおまけまである今日29日(月)

でも、ここが地下のペンギンハウス いつもと変わらぬ・・・いや、今日はなんだかちょっと浮かれてしまうような夜になっていた

最初の演奏者は g/vo , g , b , ds の4人編成のブルースバンド 豊樹野しげと&伝染Roll’s
ブルースをベースにしながらこのバンドのボーカルギターの豊樹野の作りだすオリジナルの曲の持つ世界はメッセージ性も含めて独特のカラーがある

気軽に「オー、イエエ~!」とはいえないようなちょっとばかりシニカルな面を持つこのバンド そしてもうひとつの”売り”はやはりリードギターの太田のプレイだ

恐ろしく弦高を上げた僕には絶対弾けないセッティングをされたストラトを彼が弾くともう「アグレッシブ」などという言葉は生易しくて当てはまらないなあ・・・と思ってしまう

心が爆発するようなそのプレイは一見の価値あり 彼はburasagariという別のユニットもやっていて、来週9月5日(月)にここに出演しますぞ
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2番目に登場したのは 山田健人+三樹
山ちゃんのボーカルは基本はアカペラだ 楽器は一切なしでというスタイルなのにその歌力で最後までじっくり聴かせる 彼の声は少しも美声ではないし歌も決して上手くはない しかしその朴とつな声は驚くほど長い余韻を持って聴く者の耳から心に沁み込む 後半は彼と最高に息の合うピアニスト三樹とのDUO この三樹というピアニストも決して上手いわけではない しかし、その山田に寄り添ってゆく彼の心がそのまま音になり・・・彼らのコンビは本当に深い感動さえ感じさせてしまうのだ
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3番目に登場するのは MΛNTRΛ
ミ ヌマ(g)シラコ(per)じゃいあん(b) この「鉄板」な3人のバンドは嬉しいことに最近は月に2回のペースでここに出演してくれている そして毎回趣向や選曲を変えてくるところがスゴイ!

たとえば今日はフランク・シナトラで有名なジャズのスタンダード「Take a Chance on Love」なんて曲を持ってくる 最初は4ビートで始まる・・・そのゴキゲンなスイングに思わずこちらは身体が揺れてきてついつい鼻歌でハミングなどしてしまう それがシラコのパーカッションソロになると激烈な16ビートを叩き出す・・・そのままどんどんヒートアップして行くのかと思うと不意にすうっと4ビートに戻って何食わぬ顔でソフトランディングしてしまう こういう洒落っ気が彼らの演奏にはいつもある

柔らかいものとハードなものがいつでも中にあってどこでもすうっと取りだせる・・・それが彼らの魅力だ そして今日の最後に演奏した「キャラバン」 ギターのミヌマのソロの激烈なこと・・・ジャズなんて枠では括れない底の深さがいつもある
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そして今日最後に登場したのは孤 高のピアニスト 石田幹雄
前板を外した剥き出しのハンマーが並ぶピアノ・・・そこに粛々とそして凛とした佇まいで彼が座る

極力押さえた照明はほとんどピンスポ1本だけ その丸い光はなんだか彼が月の中で演奏しているようにも見えた

今日はバラードだ 次々となんともたおやかで繊細でリリカルなメロディーが出てくる

弾いている彼の顔を撮影に前のほうへ周った そのファインダーの中にはなんとも穏やかでまるで弥勒菩薩のような顔があった

みんながしんと聴きこむ・・・本当に静寂の中に月明かりのようにピアノの音が染み渡っていく

後半にはちょっとアップテンポの4ビートが飛び出す 途端にまたこちらの心までスイングし始める 彼の指先が踊る こちらの心も踊りだす!

明日の台風のこと・・・しばし忘れて
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高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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