仲田修子話 48

虎ノ門病院での仕事はなかなか快適で待遇もまあ良かったのだが、ここで修子の性格が頭をもたげてくる

もっとさらに楽で面白い仕事はないかと思って、どうせやるなら水商売・・・それも男ではなく女に媚を売る商売がいいなと思い探してみると、週刊誌に銀座にあった「白川」というレズビアンクラブの記事が載ってたので、そこに電話をかけてみた 「すみません 従業員募集してませんか?」と するとすぐに採用が決まりそこで「男装の麗人」として働くことになった

さて、その店へ行って見ると修子以外のほかの「男装の麗人」という3人の従業員たちは全員背も低くルックスも悪く下品で粗野な感じの連中ばかりだった それになんだかダルそうな雰囲気を全員が持っていたのを修子は覚えている

しかしここで問題が発生した それは髪型のことだった 修子としてはせいぜい短めのボブくらいにしたかったのだが店へ行くといきなり床屋に連れていかれ「角刈りにしろ」と言われたので「それはかんべんしてくれ」と必死に頼みなんとか「アイビーカット」にすることで話がついた そして彼女はテイラーに行って(当時は洋服の青山などの店はなく吊るしのスーツなどは手に入らなかった)貯金をはたいてかなり高額のオーダーメイドのスーツを作った それにネクタイを締めて この衣装が仕事着になった 思えばフーテンをやってたときにも、誰からも「「男の子」だと思われてた修子にこんなぴったりな職業は無かった 収入は一気に今までの倍くらいになった

現代では「レズビアンクラブ」というとほぼ女性用の風俗店になってしまっているようだが、当時のそれはむしろ社交場で上品だった 「白川」に来る客層は本当に千差万別で ソープ(当時はトルコ)で働く女性や高級クラブのホステス、やんごとなき身分の方とか・・・その店は男性も入れたので色々なお客が居たが、修子が一番驚いたのがよく来てた常連客でどこかの会社の社長らしい人なのだが、来るとそこの従業員には皆にチップをそれも1万円を渡していた しかし驚くのはここからで、彼にはとても変わった習性があった いつも店に来て1~2杯飲むとすぐ眠ってしまうのだ  ずうっとただ眠り続け、そして店が閉店時間になり彼を起こすと目を覚まし「じゃあこれからもう1軒行こう」とレズビアンクラブの従業員全員を引き連れてこんどは有名なゲイバーへと移る するとそこでもちょこっと飲んでまた眠ってしまう
やがてそこも閉店になり彼を起こすと今度はそのゲイバーの従業員も引き連れて次の店・・・そこはものすごく高級な朝まで営業しているナイトクラブなのだが、そこへなだれ込む・・・そしてまた寝てしまう

そしてそのナイトクラブも閉店時間になった ・・・”ツアー”もここでやっと終わるのだが、彼はここまで引き連れて来た全員に1人一台ずつハイヤーを呼んで家まで送らせるのだ

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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