僕の八ヶ岳話 10

やがて僕らを乗せた車は脇道へ入った 驚いたことにそこも奇麗に舗装されてる 前来たときとは本当に驚異的な変化だ

そして、クルマはその先で曲がりさらに狭い急な坂道を登った 登った先・・・そこだけが昔と同じような砂利道・・・かえって僕は少しほっとした しかし、ほっとするのも束の間でその砂利道に囲まれるように何軒もの全然日本的じゃない建物が現われた そのすべてが「ペンション」だった
「は~あ・・・」 僕はちょっとため息が出てくるのを抑えられなくなっていた

そしてその先の角を曲がる・・・そこからはまた舗装路になっている この景色には見覚えがある 前におやじと来たときに通ったススキの原野に囲まれてたあの道だ

しかし、その光景は全く様変わりしていた ススキは多少は残っていたが、かなり刈りこまれて見通しが良くなっていた その先々に何軒かの建物がぽつり、ぽつりと見える さきほどのペンションみたいのではさすがに無かったが、明らかに普通の住宅とは違う外観の建物だった そしてその先に白い外壁の建物が現れた

「ほーら、着いたぞ!」

その建物も普通の住宅とはかなり違う外観だった まず床が高い どれくらい高いかというと下の基礎がほぼ僕の頭と同じくらいの高さになってた そして見たところ一階建てのようなのだが、なんかそれにしては屋根がやたら高い

ベランダにはおふくろが出てきてニコニコ笑いながら手を振っていた

「いらっしゃーい!」

僕はまだちょっとキツネにつままれたような気分でいた

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