僕の八ヶ岳話 25

インターから降りその現場に向かった そこは埋立地の海岸のすぐ近くに作られた大きな建築資材置き場だった まだ始まっていないのだが、そこに大きな建造物が造られることになっていた ただ、その現場に着いて僕はある失敗をしたことに気がついた 急いでいたので弁当を持って来てなかったのだ いや、きっとどこかそこらに「コンビニ」くらいはあるだろう・・・そう思ってたのだが、そこは何も無い広大な原っぱが延々と広がっているばかり・・・まるで10年近く前に訪れた清里の・・・いや、それ以上に荒涼とした何もない風景が広がっているだけだった


今から食料を求めて移動する時間も無い 仕方なく僕はそのまま車をその資材置き場に停め場内へ入った そこは無人で建築資材以外は何も無かったが、かろうじて従業員用の飲み物の自動販売機があった 結局僕は缶コーヒーやジュースを飲んで飢えをしのぎながらそこで朝まで過ごした 目の前は真っ暗な海・・・その向こう側2キロぐらいのところには芝浦のビル街がそそり立っていて、その光を見ているとまるで無人島に(いや、本当に無人だったのだ)独り取り残されたようでなんとも侘しい気持になった・・・

それから20年ぐらい・・・たまたまその場所を再び訪れることになった とにかくその変貌ぶりに僕は唖然とした

あの夜・・・眺めていた対岸から資材置き場のあった場所までは巨大な橋がかかっていた

資材置き場があったあたりは整備されてなんだかお洒落なマイアミあたりにでもありそうなビーチになっていた 無人の荒涼とした原野だったところにはいくつもの大きなビルが立ち並び、あらゆる種類のショッピングモールが出来ていた もちろんコンビニだってあちこちにあった その中でもひときわ目立つ大きなビルには不思議なモニュメントが作られていた 巨大な球体がシンボルになったそのビルのある一帯は、もう今じゃ日本中の誰でも知ってる名前で呼ばれてる 「お台場」・・・と

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

出演するには?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする