僕の八ヶ岳話 35

それは春が終りそろそろ初夏になろうという頃だった

「体調がおかしい」
そういうかみさんは電車で大きな町の病院へと出かけてきた 帰ってきて結果を聞いたらやっぱりそうだった。新婚の夫婦だったら、まあよくある話だ

ただ、僕はちょっと戸惑った まあそうなったら仕方が無いのだが、あと1年くらいはかみさんと2人でこの土地での生活をゆったりと楽しもうと思ってたので・・・

”バイクはあぶない”ということで彼女は清里駅前まで通う仕事を辞め、家のすぐ近所にあるペンションの手伝いのアルバイトをはじめた ちょうど夏の繁忙期に入る当時の清里は仕事ならいくらでもあった 仕事の内容は「ベッドメイク」だ その前の晩の宿泊客が使ったシーツなどのリネン類を交換し、ごみを片付け掃除をし新しいリネン類を敷く

そのペンションは部屋数が10ほどだったが、それでも朝のチェックアウトから次のチェックインまでの時間、なかなか忙しい作業だった

当時の八ヶ岳はペンションブームの真っ最中 どのペンションも7,8月は連日満室・・・という状況だった 僕らの家の近所には10件ほどのペンションがあったが、どこも大繁盛・・・後に親しくなったあるペンションのオーナーの話だとこの夏の2ヶ月の間に1年間のほとんどを稼いでしまい、シーズンオフの冬はオーストラリアへ観光旅行に行く・・・それでも金は有り余るほど稼げたそうだ

夏になるとどのペンションからも賑やかな声が聞こえてきた 僕の家の前の通り・・・そこには何も無いのだが、ペンションの宿泊客らがぞろぞろと家の前を通りこちらを眺めてゆく・・・そんなことが日常茶飯事だった

そんな彼らがよく僕ら地元民に訊くあるキーワードがあった それは・・・

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