僕の八ヶ岳話 38

9月に入ると八ヶ岳の秋は一気に加速していった 標高の高いところではすでに紅葉が始まり、朝晩はちょっと寒さを感じるくらいだった

かみさんのお腹は順調に膨らんできていてもうすっかりそういう姿になっていた 予定日は来年の1月末・・・そういう話も耳に入ってきた

秋の紅葉シーズンや連休があると清里も少しは賑わいを見せる しかし、次第に訪れる人の数も減って来ていた

秋には八ヶ岳山麓のあちこちでお祭りがあった 神社などのお祭りもだが、その土地ごとの「収穫祭」などもあちこちで開かれた たとえば「サラダ王国祭り」なんてのもあったが、一番規模が大きかったのが清里の清泉寮で開かれる「カウンティー・フェアー」というお祭りだった 清泉寮は「清里の父」とも言われたアメリカ人宣教師の「ポール・ラッシュ」が開いた施設で、牧場と観光施設や宿泊施設が合わさったもの とてつもなく広大な敷地の牧場を開場にして開かれる野外イベントだ

このお祭りは本当に素敵だった まるでアメリカの田舎で開かれるフェスティバルみたいで、牧草地の中にテントが立ち並びバーベキューやステーキやバーボンウイスキーなど・・・牧草を積んで作られた野外ステージではカントリーバンドが演奏している ポールの故郷のケンタッキーに居るみたいな気分に僕らは浸っていた

遠くには甲府盆地そして富士山や南アルプスが一望できる・・・天気も最高!

そろそろ終りが近い短い秋を僕らは存分に満喫していた

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