僕の八ヶ岳話 46

そこで、僕も冬を迎える前に冬用のタイヤに履き変えなければならなかった 今は「スタッドレスタイヤ」というのが冬の定番で、最近のスタッドレスは「氷上性能」がかなりよくなっていて、かなり過酷な雪道やアイスバーンでも無理さえしなければ(ここが大事なのだけど)かなり安心して走ることができる ところが、この当時はスタッドレスはあまり性能が良くなく、僕らの住んでる清里や、もっと標高の高い野辺山あたちの住民はそれを使おうとはしなかった そのかわり当時はこういうものがあった それは「スパイクタイヤ」

今はほぼ完全に絶滅してしまった・・・というのもこのタイヤは文字通りタイヤに鉄の鋲(スパイク)が埋め込まれていてそれが凍った路面や雪を引っかく このタイヤの制動性はそれは素晴らしかった どんなにツルツルのアイスバーンでもスリップひとつしなかった

しかし、一方で困ったところもあった これが雪道だったらいいのだが、まったく雪もなく凍っても居ない普通の道路に出ると、「バリバリバリ」「カリカリカリ」と凄まじい音を出し、そして路面のアスファルトを削ってしまうのだ 冬場の山梨山間部や長野の道路は皆このスパイクタイヤで削られて道路には大きな轍が出来てしまう


春にはそれを修復するために「再舗装」しなければならず公共経費が大きくのしかかる おまけに削られたアスファルトは空中を舞いあたりに散らばり「粉塵被害」を巻き起こした これは健康被害も起こすし第一道路に面した家々はたまったものじゃない この頃の冬の街道筋はアスファルトの粉塵を被って茶色くなった家々がずうっと続いていた

おまけにこのタイヤ、音と乗り心地が最悪だった 走行中は車内で聞いてると「ザーッ!」という騒音がずうっと聞こえてくる 乗り心地は常に小砂利を敷き詰めた道を走っているようでなんとも困ったものだった だが、凍結路で悲惨な事故を起こさないためにはこれを使わないわけにはいかなかった やがて何年か経つとそのさまざまな弊害を理由に次第に姿を消していき、また県によっては「禁止」するところも出てきて、山梨ではほぼ全面的に「スタッドレス」に切り替えられていった しかし、清里などの山間部ではその後も例外として使用を許されていた とにかくスパイクでなければとてもじゃなく走れない道ばかりだったので・・・僕もずうっとスパイクを使い続けていた しかし、たまに買出しなどで山を降り麓の市街地へ行くととても肩身が狭かった 「カリカリカリ」とけたたましい音を立てる僕のキャリーちゃんを多くの冷ややかな目が見ていた 「このど田舎者が!」 きっとそう思われてたんだろうな

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