ようこそ修子worldへ    26日

いやあ、昨日はさすがに書けなかった ライブが終わって楽器を片付けてビールに口をつけたらもう自分のエネルギーが完全に切れてることに気がついて・・・そういうわけで久しぶりの翌日日記となります
昨日は仲田修子ライブ 最近はほぼ月一ペースでお聴きいただいているが、毎回来てくださる方々には本当に感謝です まして昨日はこの冬でも一番の寒さだったらしく、その寒風をくぐって来てくださった皆さんはまるで仏様のようだ
さて、昨日の修子ライブ 恒例となった「オープニングアクト」 今まではペンギンハウスのレギュラー出演者の中からお願いして出てもらってたが、今回は修子の旧い友人で  シタール奏者の菅井国夫さんに登場してもらった 菅井さんはインド古典音楽のシタール奏者でインド人奏者の大物「アミット・ロイ」の直弟子にあたり、日本だけでなく本場インドでも高い評価を受けている世界的ミュージシャンなのだ 僕らもおおいに楽しみにしていた演奏だった さて、僕の紹介でステージにあがるとまずタンブーラマシンのスイッチを入れる これはまあインドの「リズムボックス」・・・リズムじゃないけどタンブーラというベーシックなドローン音を出す楽器の音をエンドレスで流し続ける機械・・・簡単に説明するとそんなものだ 少しMCをしてシタールについてちょっと説明をしてからチューニング・・・そこからもう曲が始まってる あのシタールのなんとも言えない深みのある穏やかでいながら鋭さもある音・・・それが幾重にも折り重なった音が一つの楽器から出てくる不思議さ 僕も間近でその演奏を見ていたのだが、2つのリズムを2層になった弦のそれぞれで同時に鳴らしながらオブリのソロをそこに重ねてゆくという信じられない奏法を目の当たりにして、本当にカルチャーショックのようなものに襲われた すごい!すごすぎる たかが6弦の楽器でひーひー言ってる自分が恥ずかしくなったよ~ 菅井さんの演奏はすごく穏やかな始まりからやがて烈しく拍子を小刻みに打ちながらダイナミックなパッセージが展開されてゆくところへ上り詰め最後はまた穏やかな海原のような音で終了 20分があっという間だった 本当に素晴らしかった!

そしていよいよ我々の出番だ 今回は仲田修子(vo)ジミー矢島(ag)瀬山研二(per)有海治雄(ag)という最もベーシックな基本メンバーだけでの演奏で一番旧くから一緒にやっている同士なので落ち着いて演奏ができる・・・が、今回のライブには少し不安要素があった ボーカルの修子のノドの調子が数日前からあまり良くなく、声が出ない恐れがあったのだ 風邪かと思って病院に行ったら風邪ではないと で、その数日前のリハで4時間近く歌ったと告げたら「それは無茶だ せいぜい2時間以内にしなくちゃノドが負担に耐え切れない」と言われたそうだ 言われてみればそりゃそうだ 彼女は若い時からノドが丈夫で何時間歌ってもへっちゃらみたいな人だったので、本人も僕らもそういうことをうっかり見過ごしていたが、言われてみれば年齢を考えればそりゃそうだわ・・・幸いノドの調子は「最悪」というところまではいってなかったので、とにかく当日のリハでもノドを温存することを第一に考え、あとPAをやってくれてる中村氏はディレイをうまく使って声に負担がかからないような音作りをしてくれた さあ、あとは本番だ まずはバックの僕らがステージに出てインストを1曲 ミディアムテンボのブルースだ ステージが暖まったところで修子登場 1曲目は「一週間」という曲 これは修子のレパートリーでもかなり昔のやつで人生の中で人間がぶちあたる色々なことを一週間というサイクルの中で表わすというような詞だ 曲はまったく間奏もソロもなく4ビートのメロディーが淡々と続くという演奏でシンプルなだけに難しい そして2曲目 これが今回体力的に僕には一番しんどい「House of Rising Sun」だ 瀬山のコンガと僕のギターだけで構成されたこの曲を烈しいアップテンポの8ビートで演奏するのだがそのドライブ感をキープするためには本当に全身で気合を入れて弾かなければならない 勿論一番大変なのは歌う修子なのだが、心配していたノドの調子はどうやら大丈夫のようだ シャウトする 「There is a House in New Orleans・・・」ペンギンハウスの温度がどんどん上がってゆく

1部はそのあと「地下鉄ブギ」「ジャッカルとアラビア人」を演奏して終了 少しの休憩を挟んで第2部がスタートした 今回このライブに僕は「新兵器」を用意していた それが写真でもわかるがスティールギターだ 2部最初のインストはこれを使ったミシシッピっぽいブルース そして修子が登場してそれを使った「ホーボーズ・ララバイ」 うん、客席の反応もいいぞ そしてこの日の難問のまず1つ目がやってきた 「よくのふかお氏の最期」という曲は実際に昔あった「事件」をそのまま歌にしたというナンバーで、内容は若い頃戦争で地獄を味わった「よくのふかお(仮名)」という男性がその影響でかとてつもないケチになりそのケチさのあまり最後は「餓死」するのだがその亡くなる寸前に「勿体無い」とコタツの電源を切ったという話なのだが、それを修子は7分半にものぼる長い「バラッド」にした この曲は淡々と3拍子の演奏が続くのだがそれゆえに歌うのもギターを弾くのも尋常ではない集中力が必要とされ、演奏し終わるとガックリと疲れる曲なのだ それに、ギターは歌う彼女の呼吸に完璧に合わせなければならないので・・・この大変さ解る?やってみな(笑) 幸い歌も演奏も最高の出来で、それに歌う前のMCも効果があったようで演奏中客席からは笑い声が沸き起こる この曲をやってこんなにウケたのは初めてかも知れない そして演奏は新曲のブルース「立見席」を挟んでいよいよ本日の最大の難関の曲に突入した

その曲のタイトルは 「お夏」 という
歌舞伎などに詳しい人ならわかるかも知れないが、この曲は歌舞伎の演目「お夏清十郎」からテーマを取っている 簡単に説明するとこの話は江戸時代に実際にあった駆け落ち事件を元にしていて、手代の清十郎と駆け落ちしたが捕らえられ清十郎は打ち首、お夏は気が狂ってしまうという内容なのだが、修子はそれを純粋に日本風な楽曲に今のテイストを加え「邦楽ロック」というようなスタイルにした この曲は僕が彼女と出会った頃から歌っていて僕も大好きな曲なのだが、なにしろ歌うのがすごく難しい・・・ノドの調子が万全でないととても歌いこなせない大変な曲なのでそれもあって今まで彼女も封印してきたのだが、今回はやることになっていた しかし、ベストコンディションでない今回それは出来るのか・・・全員の心配の最大点はそこにあった しかし、本番になった時その心配は吹き飛ばされた あの修子節は健在だったのだ そこに有海のギターがまるで炎のようなフレーズソロをほとばしらせる・・・そう、あの当時から彼のこの曲への思い入れは凄かった 歌のあとの間奏部分 清十郎の死を知ったお夏が悲しみのあまり発狂してゆくさまを32小節の楽曲で表現するのだが、本当に最後は狂気の炎が舞い上がるようだった そして、この超難しい歌を歌いきった修子は身内ながら本当にすごいシンガーだとあらためて思った 客席のものすごい声援と拍手の鳴り止まぬ中次の曲「シンデレラのお姉さん」 これで客席は爆発!そしてこの日のもうひとつの目玉が次にやった「高円寺オンマイマインド」という曲だ この曲は本当に高円寺という街の「そうだよね~」と言えることが歌詞で出来上がっていてたとえば「買い物帰りのおばさんが/モヒカンのパンクスと並んでる」なんてところなんか実際しょっちゅう目にする この高円寺に対する愛で埋めつくされた名曲をなぜか修子は「あまり出来がよくない」とずっとお蔵入りさせていたのだ 今回この曲を聴いて僕はこれはいい曲だから絶対聴いた人にうける・・・と思ってた ところが、結果は意外だった
「うける」という予想は外れた・・・・「大受け」だったのだ(笑) 気がつくと客席の後方にいた4~5人が立ち上がって両腕を真っ直ぐ上に上げると曲のリズムに合わせて全員揃って左右に大きく振っている ヤマノッチもカサイくんも泥窪もマッチャンも・・・段々それが広がってゆく そして曲の後半の「高円寺 オンマイ マ~インド」というところではもう全員が大合唱!みんなニコニコしている こちらも思わず笑ってしまう これなんだよなあ この皆の笑顔が見たくてライブやってるんだよなあ・・・こちらまでなんだかシアワセな気分になってしまった そして最後の「Sweet Home Chicago」ではもう大騒ぎ、みんなが歌ってる 後半の恒例アドリブスキャットでは客席のリクエストを受けて修子が「淡谷のり子」「美空ひばり」「越路吹雪」の物まねをするというコーナーまであってもう大喝采!そして、アンコールは超高速ブルース「引越しブギ」そしてラストは僕のギターで「トラブルインマインド」 客席の拍手はまだまだ収まらないが今日はここまで 「もうネタ切れです」
終わった後泥窪がしみじみとこう言ってくれた 「今日来なかった人は損した」 本当皆さん、ありがとうございました 終わってみれば仲田修子の声もまったく大丈夫だったので・・・・ホッ

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜は・・・

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