回り続ける     21日

昔ビートルズのレコーディングエンジニアをしていたジェフ・エメリックという人の当時のレコーディングについての苦労話や「あの音はこうやって作った」な どという内情話がたくさん書かれた「ザ・ビートルズ・サウンド」という本をだいぶ前に読んだことがある 読んでみると当時は本当に苦労してあの手の音(サージャン ト・ペパーズや)を作ってたらしい たとえばレコーダーも4トラックのものしかないのでそれらを同時に回したりバスドラムの音にどうしても迫力が欲しかったので当時としては誰もやってなかった「穴を空け毛布を突っ込む」なんて「禁じ手」を開発したり・・・比べれば今はずいぶん楽になったよねえ
今日最初の出演者はソラトブ ギター1本での弾き語りだがとても複雑な音作りをするミュージシャンだ ギターにもボーカルにも、フランジャーやディレイやループや・・・本番前にちょっと彼のセットを覗かせてもらった かなりの数のエフェクターだが、それでもあれだけの凝ったサウンドを作るにはあっさりしてるほうなのかも知れない ところで、そういうサウンドを駆使したソラトブの音は結果的には非常に東洋的・・・というより「和」のテイストが強い 俳句のようなシンプルさと透明感がある

前者が「和」だとすると次の演奏者は間違いなく「洋」だ アメリカ人ギタリストのミックスマスターはグレッグという物静かな青年だが、ギターを持つとがらりと変わる GIBSONのダブルネックギターから出てくる音は限りなく過激で爆音だ 2つのギターを左右それぞれの手で同時に弾く 弾きながらバスドラムにハイハットを踏んで・・・ワンマンバンドのようだ すごい迫力だ! そして歌う・・・シャウトする 曲名は「シロナガスクジラ」というそうだ それにしても写真を撮っていて気がついたが、ギターのネック部分だけ見てるとまるで2人のギタリストがいるみたいだ

3番目の演奏者はペンギンハウスには久しぶりの登場になるユニットZeeblebuz A Knot  g/vo ,b ,dsの3人編成だ g/voは女性だが彼女のパーカッシブでよく通る声とキレのいいギターがなかなかいい そして非常にリズミックでドライブするベースとドラム このユニットはとてもソリッドな硬質で引き締まったロックを持ち味にしている 久しぶりに見たらボーカルの女性のお顔がなんだか前より少し丸くなったような・・・その分声の迫力が増したみたいだなあ またやってほしいね

さて、今日最後の演奏者はウシトラ ペンギンハウスではおなじみのag/vo ,per カタヒラとフジイのコンビユニットだ カタヒラの迫力あるボーカルと無頼的歌詞それにパワフルなフジイのパーカッションが絶妙なコンビネーションを作ってる ところが、そのフジイが今日はちょっと問題を抱えていた と、言うのは急に仕事が入ってしまい今日のライブ途中で退出しなければならないという 仕方ないので途中まで2人での演奏、後半はカタヒラのソロでということになった それでもフジイはいつもと同じだ 例の「ミラーボール」を今日もちゃんとステージ横にセットする 前よりはゆっくりと回るようになったミニボールが回る中ウシトラのライブが始まる そして最後の2曲だけがカタヒラのソロ演奏になった しかし、このソロがよかった またこういう構成もありだと思う ところで、途中退場のフジイはそそくさと仕事場に向かった コンガもパーカッションの小物もその場に残して そして、あのミラーボールも・・・今、誰もいなくなったペンギンハウス ミラーボールはまだ回っている

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜はふけていった・・・

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