休み~休み明け     25日

さて、昨日は休みだったと言ったけど実はペンギンハウスのすぐ近くまで来るついでがあったのでちょっと店に顔を出してみた 昨日はThe Black CIrcus/布施和彦/三浦陽子クインテット/石田幹雄 というとても魅力的な出演者ばかりだったので、ちょっと前半は見れないけど後半は観よう・・・と、それまで一緒に飲んでいた仲田修子と一緒にペンギンハウスへとやってきた ステージはちょうど三浦陽子クィンテットの演奏が始まるところ 僕らが席に着くと同時に演奏がスタートした メンバーは三浦陽子(p)古池寿浩(tb)斉藤(社長)良一(g)SACHI-A(ds)立岩潤三(per) 全員三浦陽子とは本当に感性の奥底までシンクロできる素晴らしいプレイヤーばかりだ このメンバーでの演奏は三浦陽子の織り成すとても緻密で細やかなピアノにそうっと的確に自分の音を滑り込ませてゆくという作業で出来上がっている とても細やかで控えめで・・・でも全員の音がキラキラ光っている その40分間はとても幸福感に満たされていた

その三浦陽子が弾いていた同じピアノの前に一人のピアニストが座る 孤高の天才プレイヤー石田幹雄だ 僕と仲田修子は最前列に移動 一番近くから彼の演奏を聴かせてもらうことにした こんな間近で彼の演奏を聴くのは以前修子バンドに彼がゲストで入ったとき以来 それも今回は僕も完全に「聴き手」として聴くのだ さて、演奏が始まった 間近で観ているとピアノを弾くときの石田幹雄の動きは実に美しい 鍛え上げたアスリートかあるいは野生の獣のようだ そして前板をはずしたピアノを見ているとハンマーが動くのがまるで冬の荒れ海の波のように見えてくる 僕は彼が送り出す烈しいグルーブに思わず自分の体が揺れだすのを感じていた 荒波に揉まれるように・・・今日の彼の演奏はいつにも増して躍動的でアグレッシブで烈しい そのうち僕は自分自身の異変に気がつく 体が今度は動かなくなるのだ それに瞼が異様に重たい それって眠くなってきたってこと? いやいや、耳だけはその音をまるで拡張するように受け止め続けているのだ そして、耳以外のすべての機能が停止してしまったように・・・そして彼の音はそのまま僕の血管の中を駆け巡る・・・こんな体験はめったにない いわゆる「虜」に僕はなってしまったらしい もう催眠術にかかったようだ もうこの音からは永久に逃げられそうもない・・・そう思ってると彼のピアノの音が止まった 演奏を終えた石田幹雄はにっこりと微笑むと客席に向かって一礼をした

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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