エイリアンたち   18日

高円寺というところはもうずう~っと昔からほかの場所とは違った不思議な人たちが出入りする街だ 多少の変人奇人じゃこの街では誰も振り向いてももらえない そんな高円寺に今夜はそれこそそういった連中を蹴散らかすような不思議な連中ばかりが集まった どうしたんだろう・・・その理由はやがてわかった 彼らは全員地球人ではない・・・昔ならインベーダー・・・今ならこう呼ばれるんだろう・・・エイリアンだと 僕らがうかうか地震だ原発だオウムだ消費税だと騒いでるあいだに彼らはすっかりこの地球のそれも「KOENJI」というところに頻繁に出没するようになっていたのだ そして彼らがよく集まる場所として「PENGUINHOUSE」という謎のスポットが浮かび上がってきた
1)最初に現れたのはもうみずからを宇宙人と公言してはばからない連中
いやバンドだった この地球の日本という国でそんなことをカミングアウトしてしまってはさぞかしいじめや差別に苦しんできたことだろう ところが、彼らの脳細胞はやはり我々地球人とは違うようでひどい眼にあえばあうほど気持ちが楽しくなるようで彼らの演奏する苦しみの歌は限りなく明るく元気だった 「我々は地球にあるロックンロールというものを研究している」と言うだけあってまるで地球人以上にノリノリのロックを演奏してくれた 今や地球を危機に陥れている「ポロリ菌」を退治するために
彼らが創り出したのが「ボインジャー号」という宇宙船だそうだ 
2)次に現れたエイリアンはこの地上の暗闇にどうやらずうっと昔から住着いていたらしい それは暗がりからそうっと手を延ばして「良い子」をどこかにさらってゆく・・・昔は「人さらい」とか言われていたのかも知れないが今その姿を現した はっとりあつしというどこにでも居そうな名前を持っているがこのエイリアンの目的はたとえば気の弱い子供が「うえ~ん^^^夜中にトイレ行くの怖いよ~」と泣き出すような恐ろしさをこの地上に撒き散らして歩く けっこう性質の悪いやつだ 彼は「YOYOYOYORUNO」という星人に属するがこの種族はさらに凶悪な不気味光線を発する
3)エイリアンはまだまだいる 今度は2人いや2匹の凶暴な星人、地上での名前を東京セッションという 彼らは非常に攻撃性の強い種族でギターによく似た武器から殺人音波を出して地球人を絶滅させようと計画している しかしその音波はなぜか「ロック」や「ブルース」によく似ていて地球人は殺戮されずにむしろ気持ちよくなってしまうのだ それにもめげずに彼らは今日も絶滅計画を実行する わけのわからない宇宙語で叫ぶが時折空耳のようにこう聞こえる・・・「パット・ブーン・・・」 どういう意味だろう
4)ついに彼らも最後の戦士を送り込んできた それまでの攻撃ではなかなからちがあかないと解ると攻撃法を変えた それは宇宙メッセージによって地球人を強制的にみなハッピーにしてしまおうという計略だ 楽しい演奏や歌にうっかりノッて手拍子やコーラスをしているうちに魂を奪われてしまう・・・うん、地球もいよいよ危ない!なにしろ相手は宇宙からやってきた
王子なのだ これは敵わないに決まっている 半バナナ星人は「ASAGAIA」という地上の仮の住居からこの「KOENTEMPLE」に月に一度くらい侵略にやってくる 手ごわいやつらだ ほら、高円寺の地球人はすっかりもう洗脳されてしまった・・・「タンサンでカンパ~イ!」 なんだかすごく楽しそうだ

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜はふけていった・・・

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