美女と野獣たち(?)   2日

さあて、大変なことになった 今日のペンギンライブのメニューを見てるとこいつは大変だあ・・・無事に済むわけがない 飢えたライオンの群れの居る檻の中に一匹のウサギを放り込むような・・・そんな残酷なシーンを思わず連想してしまう ウサギちゃん、ただで済むわけがない 思わず僕も震えてしまう
そのライオンの一匹目はオノダカズヒコという名前だ 何しろ凶暴だ どこのだかよくわからない古いアコギをガシガシかき鳴らしとんでもなく古臭いスタイルで弾く 顔はどう見ても黒人にしか見えない(色は白いけど) 声がまたすごい 黒人ブルースマンでもこんダミ声はなかなか居ない あえて近いとすればCharly Pattonか むしろ広沢虎造に近いか 聴いてる僕らはまるでドッカリー農場に居るみたいだ でもよく聴いてるとそのサウンドはなんだかお洒落なジャズっぽいところがあったり歌の詞がなかなかよかったり 凶暴そうだけど本当は優しいのかもしれない
2匹目のライオンはすぐ近所でバーのマスターをしている 古いギブソンのピックギターを情け容赦なくスライドバーでギャンギャン言わせるSHABA-DABAというこれまた凶暴なブルース獅子だ このスライドバーは爪や牙より危険なのだ ブルースを心に抱えた人なら一発でやられてしまう お!歌ってるのは猫のうただ 「猫なで声も猫かぶりも忘れちまった Stray Cats Blues・・・」かっこいいぞ! お、メスライオンも出てきたぞ トモコという今日のゲストの女性はオリジナルのブルースとボニー・レイットの曲を歌ってこれがまたすごく良かったんだよ
3匹目に出てきたライオンは一番酒癖が・・・いや凶暴なやつだ ふだん皆から気軽に「泥窪~」と言われてるがやはり武器はブルースとそこに潜ませた恐ろしい歌だ 「君が蹴りあげた乾いたその石は 昨日無くした僕の心さ ゆらりゆられて僕らはどこに行くのか・・・」 本当に情け無用だ 今日披露した新曲も 昔作ったパンクっぽい曲もよかったぞお
そして、その凶暴なライオン・・・ブルースオヤジたちに散々荒らされたこのステージに引き出された可哀相なウサギちゃん しかし、ウサギはただのウサギじゃなかった 爪も牙もおまけに毒まで持っている 取り囲んだライオンどもは一発でやられてしまった ここからはウサギちゃんこと藤原愛
一人世界だ その研ぎ澄まされたピアノと卓越したボーカル・・・それらを武器に彼女は最強のピアノ戦士になる もう誰もそれを引き止めることはできない 今夜もその毒気もカンフルもモルヒネも持ち合わせた処方箋は心悩む人にはすごい効き目を発する ただし、副作用もある やたらと酒が飲みたくなるのだ 「ワインは道連れ・・・焼酎は的外れ・・・ウイスキーみたいな あのこを飲みたいな・・・」 僕も飲みたくなった

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜はふけていった・・・

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