僕らの北沢話  18

「信じられない光景・・・」というのはその当日の「楽屋」で起こったことだ

控え室になっている部屋・・・その同じ部屋に修子たちとヒルトップの面々もいたのだが・・・

そして・・・ここからは修子から聞いた話をなるべくそのまま伝える 僕は現場には居なかったことをあらかじめお伝えしておく豹

その控え室でペーパーナイフのメンバーは全員楽器のチューニングなどをしながら静かに出番を待っていた 今でもそうだが出待ちの控えをしているとき修子もほかのメンバーもとても静かだ

それはちょうど豹などの大型猫類などのように、静かに気配を消してじっとしていていざ「勝負!」襲うというときには他の誰にも出来ないようなダッシュの機敏さと動きで獲物を仕留める・・・あの感じにとても近いのだ

それと対照的・・・というよりは真逆だったのが当日のヒルトップの面々だった

楽屋でなんと酒を・・・それもウイスキーをそのまま瓶ごと回し飲みしていたのだ 1本目が空きすでwhiskeyに2本目に突入・・・メンバー全員がこれから出番だというのにすでに「酒盛り」状態になっていた

修子は驚いた 今まで彼女が居たナイトクラブなどの仕事場では決して目にすることのなかった光景だった 彼女がいた世界ではミュージシャンが仕事前に浴びるほど酒を呑んでステーテージに上がることなんて「論外」だったからだ 「ダウンタウンブルース」で彼女自身言ってるが、実はかなりアルコールには強かった修子だが仕事場では「酒は飲めない」と言いどんなにお客から勧められても一滴も口にしなかった

まあ、少しはアルコールにも口をつける演者もいないことはなかったようだが今目の前で繰り広げられてる光景はとてもそんなレベルではなかった

「この人たち・・・こんなに呑んで一体ちゃんと演奏することができるのだろうか」

他人事ながら呆れつつ修子は心配になり彼らの様子を眺めていた

そして、いよいよコンサートがスタートした

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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