僕らの北沢話  25

「ドラムをどうするか」 という問題があった 周りにはちょっとあてがなかった そこで修子は以前世話になっていたピアノ講師のN氏に打診してみた N氏はジャズの世界にかなり顔がきく人だったからだ すると彼は「こういう人がいますよ」と、あるドラマーを紹介してくれた 紹介してもらったその人物に電話で打診してみるとオーケイだ・・・ということで日程を決めてその日録音スタジオに直接来てもらうことになった

録音の日が来た メンバーは修子と有海、増田、僕の4人とドラマー、計5人で今回は重ね録りではドラムセットなく同時に一発録りでいくことにした 高田馬場に着きBIGBOXのスタジオに入ると依頼してあったドラムの人はもうすでにスタジオに来ていてドラムセットのセッティングをしていた

「おはようございます!」「おはようございます!」修子や僕らが声をかけるとその人がこちらを振り向いて「やあ、おはようございます」とにっこり笑って応えた

その顔を見て僕らはちょっと驚いた かなり高齢の・・・もう髪の毛はずいぶん白髪の目立つその人はいかにもバンドマンといった風貌をしていた 柔和そうなその表情にはしかしこの人がかなり長いキャリアを第一線で経験して来たといったオーラを感じさせた

「いやあ原田です よろしく」「よろしくお願いします」

僕らの父親ぐらいの年齢のそのドラマーに対して僕らはまず今回の録音を頼むことになったいきさつを説明し、そしてとにかく重ねではなく「一発同時録音」で録りたいと訴えた

すると彼は「ああ、いいよ それでどんなスタイルなの?」と訊くので僕は自分でギターを弾きながら説明した すると彼は「ああ、こっちはミディアムテンポのシャッフルでいいよね スロウのほうは3連の遅いブギみたいな感じかな?」

と、なんだか嬉しそうな表情をしながら応えてくれた なんだか久しぶりに面白い仕事が来たな・・・そう感じてるように見えた

それから曲についての細かい打ち合わせをし、いよいよ実際にスタジオに入り音を出してみることになった

2~3回通してリハをしてみる うん、すごくいい感触だ なんていうかドラムのビートがすごくスイングしながら無理やりではなく自然に全体の音をひっぱっていく 一緒に演奏しいていてとにかく気持ちがいい

そして、いよいよ本番の録音が始まった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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