僕らの北沢話  28

「みんな、知ってる?」

レコーディングの騒動の悶着がひと段落したころ、修子が僕らにこんなことを話した

「レコード業界の全体の売り上げってどれくらいあると思う? 実はね”豆腐屋業界”とほぼ同じなんだよ」

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そうだったのか メジャーのレコード会社が全部束になってもその売り上げはスーパーや豆腐屋さんに並んでいる豆腐とほとんど変わらないのか 豆腐屋さんはだからと言って決して横柄な態度や妙な特権意識をふりかざすなんてことはしないよなあ・・・今ではもうレコード業界なんて衰退しきってて多分豆腐業界の足元にも及ばないだろう

第一、もう今ではインディーズのほうがはるかに勢いも魅力もあるし・・・まあそれ以前に現在はもうCD自体が売れなくなっちゃった時代だもんねえ

ただ、その頃はまだ「メジャーレコード会社」といえばミュージシャンにとっては夢の御殿、権威の権化のような存在で「俺は○○レコー217029ce3388a946c2d91e40523e5e7fドのプロデューサーだぞ!」などと言えばそれこそ水戸黄門の印籠のように居並ぶ音楽人は「へへ~っ!」とひれ伏したものだった

しかし、今回の騒動を通してそういった世界の連中の多くがいかに馬鹿で理不尽でただただ権力にしがみついているどうしようもない奴らばかり(そうではない人たちも居たのだが)かということをつくづく知らされた僕らだった

そして修子が続けた

「あのね、私決めたんだ もうこれからはああいう馬鹿な連中とは一切関らずに自分達のやりたい方法で音楽活動をしていこうと・・・そして私たちと同じような境遇で頑張っているミュージシャンたちが同じように妥協を強いられず自由に活動していけるような環境を作ろうと」

それまでの毎月1回やっていた「ロウソサエティーコンサート」だけでは拾いきれないものがあった

その数日後、僕らとそしてその周りに集まっていた音楽仲間を集めてミーティングが開かれた

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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