今日もギタリストをひとり紹介したい
この人は最初に僕のギターのピッキングに影響与えたドク・ワトソンのまた先生みたいな人だ
その名は「マール・トラビス」(Merle Travis)だ
ギ ターにちょっとは興味のある人なら「チェット・アトキンス」というカントリーギタリストの名前は聞いたことあると思う チェットは「ギャロッピング」というフィンガーピッキングのスタイルで有名なギタリストだがそのスタイルの「元祖」とも言えるのが最初に挙げたマールなの だ
ドク・ワトソンはこのマールに心酔していて自分の息子に「マール」という名前を付けたくらいだ(写真右がマール、残念ながら若死にでドクより先に逝ってしまった)
僕もかなり彼には心酔していた 当日持っていた彼のアルバムのジャケットの写真を真似て白のジーンズ上下を着たりしていた
さて、この「ギャロッピング」とはどんなスマイルなのか・・・
それでは⇒ドク・ワトソン
次に⇒チェット・アトキンス
最後に⇒マール・トラビス
の演奏を見てもらおう
最大のポイントは親指で1/4拍子で規則正しく刻まれる低音だ その音は弦のブリッジ近くに付けられた掌でミュートされて「ボコン」と言った伸びないベースのような音色になっている
そのベースランを骨組みに人差し指(時には中指も)がメロディーを作ってゆく
まるで二台のギターがやることを一台でやってしまうというこの奏法をマールは炭鉱夫をやっていたケンタッキー時代に同じ職場にいた黒人のブルースマンから教わったそうだ
このピッキングの一番大事なポイントはとにかく低音のビートを正確に力強く打つことだ
そのために親指には「サムピック」を着けることをお勧めする とにかくパーカッシブで太い低音が重要なのだ
さて、上に紹介した3人、特にチェットとマールはよく比較される 比べるとマールは男性的でちょっと荒い、比べるとチェットは繊細で洗練されてる
ただ僕はマールの歌も好きなのだ 決して上手くはないのだが味がある そして彼は優れたソングライターでもあった 「ナインパウンドハンマー」「16トン」なんて名曲は彼のオリジナルで僕もカバーさせてもらってる
70年代の最初に初来日したときは僕も観に行った
ステージは予想してたのと違い、かなり「カントリーショー」カラーが強くてマールもど派手なカウボーイ衣裳で登場したが、ギターはやっぱり凄かった
そしてアルバムを聴いてて気がつかなかったのだが、トレモロアームとボリュームノブを連動させてまるでペダルスチールギターそっくりな音を作ってた「Steel Guitar Rag」
カントリーギターの革新者はまたすごい職人でもあったのだ
高円寺ライブハウス ペンギンハウス