仲田修子話 26

さて、いよいよ仲田修子は中学生となる

中学校は前の小学校からもさほど離れておらずやはり家から近かった 1クラス50人くらいが10クラスくらい 大体は修子の通っていた小学校を卒業するとほとんど皆そのままその中学校に通うようになる ただ地元のお金持ちの子女の中には受験などして私立の大学付属の中学に進んだりした者も居た 小学校の時とさほど変わらぬ環境・・・しかしそれまでとは大きく変わったところがあった 小学校時代は私服で履物は下駄・・・それが中学に入るともう強制的に制服・・・ それは紺色のセーラー服にエンジ色のタイを結ぶというスタイル さすがにその服装では足は下駄というわけにはいかなくなった そこで修子は外を歩くのに初めて靴それも革靴を履くことになった 親からは腕時計も買ってもらった 昔の新入生を経験した人にはみな覚えがあるだろうがそのセーラー服はダブダブだった

中学校に入るときに新入生は全員テストを受けさせられた それは入試ではなくその成績の結果を受けて上から20位くらいまでの生徒から1学級に男女1人ずつを選んで学級委員に選出された 修子もそのトップ20以内に入っていたのでそれに任命された 別に希望してなったわけではなかったので本人は嫌々やっていた

もちろん学級委員をつとめたのは1学期だけ・・・2学期からは選挙制になって2度となることは無かった

中学生になった修子はぜひやってみたいことがあった それはブラスバンド部に入りたいということ そこである日ブラスバンド部に「入りたい」と申し込みに行ったすると・・・その時のことを修子はものすごくはっきりと覚えている そこの顧問の教師は音楽学科の担当でなんかイヤな感じの男だったが修子が入部の申し込みに来るとあからさまに嫌そうな顔をしながら渋々とこう言った「そこで手拍子をしてみなさい」そう言われ教師の前で「パン・パン・パン・パン」と手拍子をやってみせるといきなりこう言われた

「君はリズム感が悪いからダメ」

もう本当にあっさりと・・・取り付く島も無かった 本当に腹が立った あまりの怒りのせいかその腹いせに修子はその当時その中学校では誰かが「不良のたまり場」だと噂していた最も評判の悪かった剣道部に入部した 女子は修子ただ1人 剣道部と言っても稽古などはせず部室に集まってただ毎日ダベってるだけ 顧問も居たのかどうだか顔を見たことが無かった 親から竹刀だけ買ってもらってそれを抜き身でセーラー服の肩に担いで毎日登下校していた

「気に入らない奴がいたら殴ってやろう」そういう動機もあった またも修子の”熊”ぶりが顔を出し始めた 実際何人かをぶん殴った

ここで筆者はこの話を聞いてすぐこのマンガを思い出した 僕の少年時代にテレビで放映されていた漫画 主人公の石田国松は正義感の強いやんちゃ者 いつも竹刀を担いで歩いていた・・・修子はもちろん女子である

他の部員はいかにも頭悪くてトロそうだがそんなに悪そうには見えなかった 別にお互い意識することも無くて修子のことにも無関心 修子も彼らと喋ることもほとんど無かった

ある日修子が竹刀を担いで下校する時にすれ違った担任の物理教師がそれを見て

「あーあ、うちの学校も今じゃ学級委員がこれだもんなあ」と声に出してぼやいた

それは2~3ヶ月くらいの間続いたが次第に中学校では彼女の噂が広まっていた

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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