仲田修子話 62

さて、修子はその後もレズビアンクラブで働いていたが芝居が終わってから3~4ヶ月くらい経った頃、修子が勤めていた店がその経営者とパトロンとの間の揉め事をきっかけにするように経営が思わしくなくなってきていた ちょうどその頃修子自身もそろそろこの仕事に飽きてきたのでここらが潮時だと思いその仕事から足を洗うことにした

そこを辞めて次に修子が就いた仕事・・・まったく違うジャンルの世界・・・それはアニメ会社での「彩色」という仕事だった 修子の知り合いのまた知り合いという人があるアニメ制作会社に関わっていたので、当時アニメに少し興味があった修子はその伝を頼りに申し込んでその会社に採用された 彩色という仕事の内容は「セル」に描かれた輪郭の中に指定された場所に指定された絵の具を面相筆を使って色を入れてゆくというものだった

そのアニメ会社では当時大人気だったアニメ「あしたのジョー」「アタックナンバー1」という2本のアニメを制作していた しかし修子の家にはテレビが無かったので自分が加わったその作品を見たことは一度も無かった



アニメ制作の仕事というのは就業時間がかなり不規則で、2日間連続で徹夜作業するというようなことが月に2回くらいはあった 2日間の徹夜作業が終わって外に出ると・・・若かったとはいえ修子でもクラクラするような状態になった
ただしヒマなときは昼ごろから出社してもいいという様な時もあった 当時のギャラは月給制で、もらう賃金は虎ノ門病院とレズビアンクラブとの中間くらいだった

その頃、仲田家はやっと引越しをした 今までのパン屋の4畳半の間借りから今度は6畳のアパート 場所は修子の勤めるアニメ会社のある 西武池袋線の「中村橋駅」の近くだった

仕事自体はそんなに面白くもつまらなくも無かったが、この職場に来て今までに無かったことが修子には起きていた 彼女が居た「彩色」の部所には6人ぐらいの修子とほぼ同年代のスタッフが居たがその全員と彼女は仲良くなって友達になった それどころか修子は彼らの中でかなり人気者になっていた

こんなことがあった ある日、その彩色のスタッフ5~6人で新宿の公園へ遊びに出かけたときのことだ 全員でムチャクチャなメイクをして派手な衣装を身につけて人気の無いその公園でお酒を飲んで騒いでいた すると・・・ふと気が付くとその周りを20人くらいの集団に取り囲まれていた その連中はどこからどう見ても堅気ではない・・・いや、むしろ間違いなくヤクザだった そしてその男たちは彼らに向かってこう言って凄んできた

「お前ら、ここで何をしてるんだ!」

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

出演するには?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする