仲田修子話 72

ある日・・・その頃修子はバニーガールをやっていたのだが・・・店が終わってそこの衣装として被っていた金髪のカツラを被ったままで仕事場から家に戻ると部屋にはイマイくんと彼の友人の男性が来ていた その男性は彼の日大の同じ科の同級生だった イマイくんはその友人に「僕の彼女を見てよ」と自慢するために彼を連れて来たのだが、それが後に裏目に出ることになることには気が付いていなかった 修子が部屋に戻りその金髪のカツラをばっと取ると中から真っ黒な髪の毛がバサっと出てきてそれを見てその友人は「スゴくいいなあ」と思ったそうだ これがイマイくんの誤算の始まり・・・そして修子のほうもその「友人」を見て目がクリっとしたちょっとベビーフェイスの彼を見て「こっちのほうがいいな」と思ったのだ

ところで、イマイくんは過激派の活動をしていてある大手のセクトに所属して居たのだが、あまりに無能なので「戦力外通告」を受けて追い出されてしまっていた そのイマイくんと連れて来た彼の友人も含めてあと何人かそういうことに興味のある人間を集めて総勢6人で修子は小さなセクトを作った 名前は「日本虚無党」(ネオアナーキズム)そのノンセクトグループで当時の過激派の活動に混ぜてもらいデモをしたり霞ヶ関の官庁街では投石で窓ガラスを割ったりと言う破壊活動にも参加したりしていた ある日・・・よりによって自分がバニーガールをやっている店の前にさしかかり「米帝粉砕!」とかシュプレヒコールを上げながら「昨日はここでアメリカ人のお客に微笑みながらWelcome!とか言ってたのに・・・さすがに自分は本当に虚無党だなあ~」と修子は笑ってしまった

その一方で修子はもうすっかりイマイくんに愛想を尽かしていた そう、実はあの日イマイくんが連れて来た友人・・・彼のほうがダンゼンいい! そう思った彼女はなんとかイマイくんを追い払おうと思い一計を案じた そこでイマイくんに「一度九州の実家に帰ってきたほうがいいよ」と勧め彼が実家に帰ってる間にこっそりとその彼と引越してしまった

新居には修子と彼の二人だけ 前のアパートには母1人だけが残り弟は新聞店に住み込みのバイトを始めた

イマイくんが戻ってきた時はあとの祭り 彼がそのことを知って泣いて抗議したのにも構わず修子は新しい彼との2人で暮らし始めた 修子にとってこれで初めて男性とちゃんと付き合うということが始まった

二人が一緒に暮らし始めてしばらくして修子のほうから「じゃあ結婚しようか」と言うと彼が素直に「うん」と応えたので、区役所に二人で行きちゃんと入籍をした

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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