僕の八ヶ岳話 22

その車は「スズキのキャリー」というワンボックスカーだった

「キャリー」は多分現在でもスズキ自動車の中でも販売台数がトップになってる人気車だ

とくに「キャリートラック」は今でも地方の農村に行けば必ず見かける それだけ性能が良く使い易く丈夫だ・・・ということが人気の理由なんだと思う

僕はさっそく弟の車に同乗さっせてもらってその車を販売していた環状7号線沿いの中古販売店に向かった 弟は僕より12歳若かったが、とっくの昔に免許を持っていた 彼の運転するHONDAのスポーツタイプの車で一緒に行くのには理由があった まずその店に行くには電車でも徒歩でもとても不便だったこと、そして車に対しての知識が少しはある彼にちょっとその車を品定めしてもらいたかったからだ
さて、その店に着いた 僕はすぐにその目当ての車を見つけた 展示場のそれは・・・かなり隅っこにぽつりとちょっと忘れられたように置かれていた まるで里子に出された子供のように居心地悪そうにそこに居た「スズキキャリー」・・・そうなのだ 東京じゃ四駆の車は「ジムニー」や「パジェロ」のような本格的オフロードタイプでもなければそれほどニーズが無かったのだ 重いし高いし燃費は悪いしスピードは出ないし・・・いいところがまるで無いのだ

おまけにこの車にはもうひとつ、ちょっとした問題点があった

それは「2サイクルストロークエンジン」だったということ

「2サイクル」とは今ではもうオートバイくらいにしか使われなくなったエンジンの旧式のメカニズムで、今のエンジンのほとんどを占める「4サイクルエンジン」とどこが違うか・・・まああんまりこんなことを説明しても興味の無い人にはどうでもいいことだと思うので簡単に言うと人間の呼吸で喩えると「息を吐きながら吸う」というようなメカニズムなのだ

この2ストロークエンジンもいいところはある それは低回転のときのパワーがあるということ だからオフロードや畑の中のぬかるんだようなところでもグイグイっと動かす力がある だから耕運機のようなものには打ってつけだし、当時オフロードカーの中でも図抜けた性能を誇ってたSUZUKIのジムニーもこのエンジン・・・そしてこのCARRYにはその同じエンジンが積み込まれていたのだ

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