僕の八ヶ岳話 53

とにかく僕の休みの日はほとんどが家族の用事のために使われていた 子供が生まれてからはそれがさらに加速していった とにかく乳児、幼児のうちはやれ買い物だ、やれ医者だと子供のためにあれこれ駆けずり回る・・・歩いてというわけにはいかないから、当然車の出番が増える 車も運転手も我が家には僕独りだけ・・・結果として僕の秋時間は家族のために・・・ということが多くを占めるようになった

これがとにかく独りで自分のやりたいことをやりたい・・・子供の頃からそういう性格だった僕にとってはなんとも窮屈な事態が日常になってしまった その当時のことを振り返ってかみさんによく言われるのは「あなたはほとんど自分のやりたいことばかりやってたじゃない」ということ 確かによくよく振り返ってみればそうだったかもしれない 家庭を持つ・・・ということが向かない・・・それは今でもそうだ なにしろそれは小さい子供の頃からそうだったようで・・・年季が入ってるのだ

おまけに周りは山や河や森・・・僕にとってはもう宝のような環境が取り囲んでいた これがまた僕の子供の頃からの性分に火をつけていた とにかく独り遊びばかりしていた男にとってこんな環境は堪らない 休みの日になると遠くの山を見ながらほうっとため息をつく

思い切って、いやもっと気軽な乗りで車のドアをあけキーを差し込む ブーンとエンジンがかかる そうそう、韮崎に引越す少し前に僕は車を買い換えていた さすがにあの2サイクルエンジンの「キャリーちゃん」は使い勝手が悪かった 山の中の清里ではなく平地の韮崎なので車は4WD(四輪駆動)でなくても良くなっていた。そこで知り合いの保険の営業マンに頼んで他の車を探してもらったところ日産の「プレイリー」という車の中古が格安で手に入ったのだ

この車がまた使い勝手が良かった サイズも軽から「小型車」になり居住空間も広く乗り心地も良くスピードも出る・・・ その車を運転して独りで出かける 森を抜け山道を走り河べりを走る・・・う~ん気持ちがいい! 山梨に引越してきたのはこういうことがやりたかったからだ 散々楽しんでふと気が付くともう夕暮れだ! そろそろ帰らなくちゃ

団地の駐車場に車を停め階段をあがり部屋のドアを開ける 途端にかみさんの怒鳴り声が僕を迎える 「今までどこへ行ってたのよ!」 娘が熱を出していた

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