僕の八ヶ岳話 71

その機械は「ジェットヒーター」という名前が付いている 基本的にはストーブだが、灯油を燃やしてできた熱気をブロワーのファンで前方に吹きつける・・・ちょっとしたジェットエンジンみたいなのだ これを凍りついた車のエンジンに向けて熱風を吹き付ける すると1時間もしないうちにエンジンルームが暖まり冷却液が溶ける これで片付けばハッピーエンドなのだが、さらに深刻な事態が起きてる場合もある 溶け出したクーラント液がラジエーターやパイプのどこかからポタポタ垂れ出したらこれはアウトだ クーラント液は凍ると膨張する その圧力はとてつもなくて弱いラジエーターのパイプなど簡単に破裂させてしまうのだ こうなったらもうその車はアウトだ! そのままレッカーされ修理工場行きになる

もうひとつ良くあった例・・・当時オフロード4WD車が大ブームで、かく言う僕もその当時は軽の4WDの「ジムニー」に乗ってたのだが、大型の4WD車はディーゼルエンジンのものが多かった そしてトラブルはやはり朝に起きる
「すみません、車のエンジンがかからないのですが・・・」
車のボンネットを開けて冷却液は大丈夫なのを確認して次にバッテリーもチェックする バッテリーは低温に弱く劣化したものだとすぐに「あがって」しまう バッテリーも大丈夫だとすると残る可能性は・・・大体の察しはついてるのだが一応その持ち主に訊いてみる
「この車ディーゼルですよね・・・燃料はどこで入れましたか?」
「出かける前に都内のスタンドで満タンにしてきたんですけど・・・」
大体の原因がわかったのでまたあの修理工場に電話をする
さて、その原因とは何か? ディーゼルエンジンの燃料は普通の車に使うガソリンではなく「軽油」だ 軽油はガソリンより安いのでトラックとか大型車にはよく使われる ところが、この軽油には困った特徴がある それは低温に弱いということだ 気温がものすごく低いと軽油は凍るのではなく液体からゼリー状のものになってしまうのだ こうなるといくらスロットルを開いても燃料はエンジンに流れてこない それで高冷地などのガソリンスタンドではそれに対応して灯油を混ぜた特別な混合燃料をこの時期には使う だからもしこういう酷寒の土地をディーゼルエンジンで走るならその近辺のスタンドで給油するのが賢いやりかたなのだ
そしてまたあの「ジェットヒーター」の登場になる

真冬の車にまつわるトラブルはまだまだあった・・・

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