パンクの樹      14日

「こんなものは、どうせすぐに消えるんだろう」 70年代の半ばに「パンクロック」というものが出てきた時多くの人はそう思ったんじゃないかな 実は僕もそう思ってたほうだ(笑) さすがに「ファッション」としてのパンクは日本でも本場でもなんかあっさり消えてしまった感じだけど・・・それからがすごかった あらゆる部分にひそかにもぐりこむように、生き延びて実にしたたかに姿も変えながら気がつけば誰も彼もが・・・パンクだ(笑)
「パンクの樹」というのがあるとしたらどんな過酷な環境の中でも根を張って枝を広げてそしてまた種を撒く そんなしたたかな樹なんだろうか
今日の出演者はそんなパンクの樹から生えてきたような面々だった 最初の演奏者はペンギンハウスの独りパンクの代表 あさのおよぐ そして、彼といえば「パンクやるしかねえ」という名曲がある 初めての対バンのほかの出演者にも無茶苦茶ウケてたな パンクと言っても彼のスタンスには独特のものがある どんな境遇にあってもまったく凹まない強さがいつも彼を強力に前に進ませる それにしても今日のおよぐはいつもよりパワーがあった 聞けば演奏前に高円寺の駅前で練習がてら歌ってたら、おまわりさんに捕まったらしい(笑) 国家権力への怒りがエネルギーになったのか!

その次に登場したのはペンギンハウスへは初登場のユニットg/vo ,g/voの二人組みの貞操帯だ 一見というか演奏を聴いてもどこか70年代の「フォーク」を思わせるようなところもあるのだが、実際ちょっと頼りなさそうな二人の風貌は「そうなのかなあ」と思わせつつ歌詞には「放送禁止用語」がバンバン出てくる そうだ、あの70年代にもこういった「裏」を表現するようなミュージシャンやシンガーなどが色々居たのだが、その後の「ニューミュージック」なるものなどに押し流されていつしか「無かった」ことにされていたんだ 彼らはあの時代が積み残してきたものをしっかり受け継いで独自のものに変貌させてきたようだ もっともっと突き刺さる言葉が欲しいね

その次に登場したのもペンギンハウス初登場 g/vo ,g/vo ,dsのトリオユニット 狂った夕陽だ 最初に店にリードボーカルのツバサがばりばりのリーゼントに皮ジャンで現れたのを見て「これは期待できそう」と思ったが、実際演奏はもう一人のボーカルがハードコアっぽいテイストで、華奢だがパワードラムの女性ドラマー、この3人の組み合わせはR&Rとパンクがうまい具合に合体していてとにかくきりっと角が立ってギターもボーカルも刺さってくる感じが気持ちいいロックだった 欲を言えばペンギンハウス的には日本語の曲がもう少し欲しかったかなあ でもすごく気分よくさせてもらったよ

かなり爆音の狂った夕陽のあと、今日の最後に登場したのはウシトラだ バンドサウンドのあとにマイク取りのアコギにパーカッション でも心には常にヘビーデューティーな「炉心」が燃えている彼らにそんなことは関係ない カタヒラのギターと声とフジイのパーカッション それは優しさをいつも大量に抱えながらこの世界に向けては鋭く烈しく打ち出される弾丸のようだ 気がつけば今日のほかの出演者も全員巻き込んでなんだか不思議な一体感 フジイのパーカッションソロ・・・いつものミラーボール・・・ライトを向けているのは「狂った夕陽」のメンバーだ 高円寺ライブハウスペンギンハウスの真っ暗闇にきらきら光るミラーボール それは「パンクの花」なのかもね

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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