マイクワークについて

以前からどうしても気になっていて 言おう言おうと思ってたことがある

それはマイクの使い方についてだ

残念なことにペンギンハウスは元々最初はライブハウスとしての営業を考えてなかったので(実はオープン当初は当時はやりの「カフェバー」としてスタートしたのだ)

そういうわけで店自体の音響状態は決してよくはない そういうわけで出演者の皆さんには不便や音的な不満を感じさせるところが多々あって本当に申し訳ないと思っている

その中でこちらとしてもなるべく「いい音」にしようと努力をしてることだけは理解していただきたい

もちろん、僕自身まだまだ未熟で皆さんにご迷惑をおかけすることも多いとは思う・・・のだが

演奏者の皆さんにもちょっと理解しておいてほしいことが幾つかある これはむしろボーカリストとしての僕の意見だと思って聞いていただきたい

まだライブ経験の浅い方は当然かも知れないが、意外ともう長くやっている「ベテラン」と言われるような方にもあてはまることがあるのだが

ずばり言ってマイクの使い方をよくわかってらっしゃらない方がけっこう居るということだ

そこで、今回はボーカルに絞って「これはやらないでほしい」ということをあげてみた

1)マイクの持ち方 ;ボーカル専門の方にあるのだがマイクのグリルボウル(あの網状の部分ね)を手で覆う(下の写真)、ぎゅっと握りこんでしまう 極端な人は両手で包み込む・・・これは絶対にヤメたほうがいい

多くのライブハウスでもそうだが、ペンギンハウスではSHURE のSM58というダイナミックマイクをメインで使っている このマイクはさすがに多くのステージで使われているだけあって、音色がナチュラルで特にボーカルにはとても相性がいい そして多くのマイクがそうなように、このマイクも「単一指向性」という機能がある 下の図のグラフを見てもらえばわかるように、ほぼ正面からだけの音を拾う特性があって、だからボーカルの横でギターやドラムが大音響を立ててもメインスピーカーから大きな音が出ててもその音を極力拾わないように出来ているのだ

ところが、グリルボウルを覆ってしまうとこの「指向性」が効かなくなってしまうのだ そこで、ブーンとかキーンとかハウリングを起こしてしまう よくハウリングが起きそうになると慌ててマイクを覆う人がいるが、実はこれが逆効果 ますますハウることになる おまけに中音域がモコモコしてしまって、いいことは一つもない これは多分「カッコイイ」というイメージでやる方が多いんだろうけど (あの矢沢永吉ですらそうだ!)ぜひやらないクセをつけておこうね

あと、ステージをハンドマイクを持って移動するときマイクをなんか「指揮棒」のように動かしたり歌ってないときに「ブラン」と下げて持つ人がいる よ~く考えてごらん あなたのマイクが向いてる先に何かありませんか?

ほら、まずメインスピーカーがあるよね それに足元にはフロアーモニターがあるはずだ

そのスピーカーにマイクの先が向いた瞬間に「ピーッ」とか「ブオ~ン」とかいう音が出たら それはつまり「ハウリング」を起こしているということですよね

そういうボーカリストがいる時は申し訳ないが歌ってないときには僕は大体マイクのゲインをミュートさせていただいている だから、不意にマイクを口元に近づけても音が出なかったとしたらそういうことなのでご容赦願いたい 下手するとスピーカーのツィーターが壊れるのでね

2)次に今度はマイクスタンドにセットしたときに起きやすいトラブル これもその人によってマイクの高さとか向きとか色々な好みがあるのでどれがいいとか良くないとかはあえて言わない

ただ、僕の場合は大体左の写真のような角度で使ってる よく極端に上向きにして使う人がいるが人間の声って特に歌うときは実は口からだけでなく鼻からも声が出てるんだよね

口だけの声を拾うとちょっとアタックが強すぎてキンキンする感じに、逆に鼻だけだといわゆる「鼻声」でヌケが悪くなる 上手いボーカリストの人は必ずこの両方をうまくブレンドしてマイクにのせてるよ で、上に向けすぎるとこのバランスをとるのが難しくなる おまけに俯き気味で声を出すと喉が開かないので声が出にくくなる それにさっきの「志向性」が関連してちょっとマイクから離れただけで拾わなくなってしまうのだ いいことはあまりない (この部分文章の一部僕の書き間違いがあったので訂正しました すんません)

そして、もうひとつ肝心なのは上に向けたマイクの先を注意することだ

その先にメインスピーカーがあれば・・・もう結果はわかるよね 意外と気がつかない人がいるんだよね

3)さて、最後はボーカルの人だけでないことなんだけど ペンギンハウスのステージは出たことある人ならご存知だがとても狭い それに関してはいつも「申し訳ないなあ」と思ってます

そういうわけで、各パートの楽器やアンプとマイクの距離が近くてこれは実にやっかいなんだよね

どうしても色々な出音が混ざってしまって、1本のマイクにほかの音が入ってしまうことになる

そのためにもSM58とかAUDIXとかがかなりいい仕事をしてくれてるんだけど、それにも限界がある ただ、ちょっとした工夫でそれを防いだり抑えたりすることが出来る

写真を見て欲しい ドラムセットの中の「クラッシュシンバル」だ この高音域で「ジャーン」と鳴る音は気持ちいいし曲の中で盛り上がるところとかアクセントとしては本当にいいやつだ

ところが、このクラッシュの音が曲者で、ボーカルの声のスカーンと抜けるハイトーンのところにみごとに被さって潰してしまうんだよね

これはそのバンドのサウンド指向とかに関るから僕はあまり言いたくないけど、たとえば割りと声の細い繊細な女性ボーカルがバラード系の曲を歌ってる後ろで、そこのドラマーがお構いなしにクラッシュをジャンジャカ打ち鳴らしてるのを見ると「あ~あ」 と思うんだよね

それと位置にも気をつけたほうがいいね やたらとシンバル類を高めにセットしたがるドラマーがいるけど、下手するとボーカリストの顔の高さくらい・・・それもボーカルマイクの真後ろなんかにセットしてあったりしたら・・・悪いけど僕の力量ではそれをどうにかすることは出来ない

だって、フェーダー見るとボーカルよりドラムの音量が勝ってるんだもの(笑)

まあ、色々うるさいことを言ってすんません 自分の腕は棚にあげてですから・・・大目に見てね

ただ、やっぱり聴いてるお客さんに「今日はいい音で聴けたよね よかったね」って言ってもらえたらと思うので・・・まだまだボーカルマイクについては色々あるけど今日はここまで

次回はアコースティックギターのマイキングについて話そうかな・・・では 夏に負けずにガンバロウ!

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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