ギターを鳴らせ 1日

いやあ、もう6月になってしまったねえ 今日は暑いねえ
ところで、先日残念な不訃報が入ってきた アメリカカントリー界の巨人 ギタリストでシンガーのドク・ワトソンが5月29日に北カロライナ州の病院で亡くなったそうだ 89歳・・・まあこの年齢じゃ仕方がないのだろうけどやっぱり悲しいね と、言ってもほとんどの人は知らないと思うので紹介するね DOC WATSONは北カロライナで1923年に生まれた 生まれつき盲目であったが幼いころからギターを弾き始めその腕前はめきめき上達する 60年代にアメリカフォークブームの影響で一般に広く知られる 彼のギターはフラットピックの早弾きで、フィドル(バイオリン)で弾くような曲をギターで弾いてそれまでカントリーの世界では単にリズム楽器だったギターをリード楽器として完成させクラレンス・ホワイトなど多くのギタリストに影響を与えた・・・実は僕もその一人で僕の最初のギターアイドルだった また、彼は歌もすごく良くて弾き語りで歌うその声は素朴さと温かみがあってそれも僕は大好きだった まあ、こういった人たちもどんどん高齢化で居なくなるのは仕方ないけど寂しいね いつかはB・Bもなんだろうなあ
すっかり前置きが長くなってしまったけど、今日のライブはそんなドク・ワトソンの影響を受けたかどうかは知らないけど奇しくもギター弾き語りの出演者ばかりになった
最初の演奏者は吉田雄吾 彼の演奏スタイルはすごく個性的だ
このペンギンにはそういうシンガーが大勢いるのだが彼はその中でもかなりのものだ まず初めて聞くとその歌声に驚かされてしまう 2種類の・・・といえるのか声の使い分けがすごくて1つ
は野太い男性的な声、もうひとつはすごく甲高いまるでエフェクターをかけたような独特の押しつぶれたような声・・・アニメ声と言うのかなあ それを彼は演奏の中で激しく使い分ける まるで二人の人間がデユエットしてるみたいに・・・いや、そんな生易しいものじゃなくまるで二つの人格が葛藤してるみたいに・・・そこから他の誰でもない吉田雄吾の世界が生まれてくる 激しい言葉がときにはマシンガンのように聴き手を撃つ
2番目はこれも声にすごく個性のあるシンガー一人涙の登場 彼の歌い方はわりと高めの声域の持ち主なのだがそれが所々でものすごく甲高くなる さっきの吉田ほどではないのだがちょっとロックっぽい歌い方なのかなあ そういえばアコギを弾いて歌うが最近徐々に音量がでかくなってきてる・・・近いうちにバンドで登場ということもあるかも
3番目のあさのおよぐ 彼も声には一度聞いたら忘れられないようなカラーがすごくある 終始甲高い声で歌ってるようなのだけどその声には独特の「太さ」があってものすごい迫力で聴くものに届いてくる 小柄な体から出てくる歌にはすごく存在感がある そんな彼が今日はいつもと違うことをやった オープニングに詩(?)の朗読をしたのだ その一節・・・「青空デイスコ・・・太陽がミラーボール・・・マッカーサーによろしくね・今日が僕らの独立記念日」これよかったな! 新しいおよぐの一面が出てきたかも 今日はいつもはちょっと危なっかしいギターも冴えてた ズズズズズ~ン!!というリズムが気持ちよかった
これだけカラーの強いクセのあるシンガーたちばかりが次々出てきて最後に登場したのは今日がペンギン初出演の田中辰明 実は最初僕は今回は彼の演奏についてのコメントはやめようかと思った 演奏が始まるとギターの音はおかしい、エフェクターの使い方もチグハグ、肝心の歌もまるで安定してなくて・・・これは困ったなあと思ってた すると、4,5曲演奏したあと彼が実に困った顔で喋りはじめた「あの~今日の出演者の方で誰かギターを貸してくれる方居ませんか 実は弦を2本も切っちゃいまして・・・」 なんだ、そういうことだったのか それじゃまともな演奏は誰だって無理だ ここがペンギン出演者のいいところで、すぐにあさのおよぐが自分のギターを差し出した その間彼が話し始めた 高校生のころ家出同然で茨城から東京に出てきたこと そのあと色々な苦労をしながら音楽をやろうと志したこと 今日の店に駆けつけた彼のお客はそういう中で知り合った友人たちらしい そして今日の出演で無茶苦茶緊張してアガってたことも白状した なんだか会場が一変に穏やかな優しい雰囲気になった その後歌い出した彼はだいぶ落ち着きも取り戻して演奏もだいぶよくなった そうだよなあ・・・僕だって今から40年ほど前初めて人前で演奏し始めたときは今考えても恥ずかしくなるくらい悲惨だったものなあ・・・そうそうDOCを毎日聴いていたあの頃だよ 誰にも始まりがあり 終りもある さあ、今のうちに思い切りギターをかき鳴らしなさい 若者よ!・・・きっと今頃DOCもそう言ってるんだろうなあ

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜はふけていった

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