僕の吉祥寺話 22

70年代の中頃に日本のあちこちで「コーヒーショップブーム」みたいなものが始まった それはそれまであった「喫茶店」とは一線をおいたスタイルで”喫茶店”といえばそれまでコーヒーも紅茶もメロンソーダもサンドイッチもスパゲティーナポリタンもときにはかつ丼までもあるといったような・・・やる気のなさそうな厚化粧のウェイトレスがいて店には南国の観葉植物がどんと置かれていてBGMはクラシックか洋楽それも有線・・・

そんな感じだったのだが、メニューの大半がコーヒーばかりそれも「キリマンジャロ」「ブラジル」「グァテマラ」「モカ」「ブルーマウンテン」・・・などやたら豆のブランドが多くて店によってはその豆までそこで「自家焙煎」するというこだわり いかにも気難しそうなマスターがカウンターでまるで科学の実験をしているような表情でコーヒーのドリップを淹れている・・・店でかけるBGMにもそのお店のこだわりがはっきり出ている・・・そんな店が増えてきていて「BOGA(ボガ)」もそういったコーヒーハウスのひとつだった

「ひとつ」と言ったが当時吉祥寺には3軒のボガがあった それぞれ「1ボガ」「2ボガ」「3ボガ」と呼ばれていたが、まず駅前の「サンロード」を入ってすぐ右手の二階にあったのが「1ボガ」 その階下の理髪店の若旦那がこのチェーンのオーナーだった

そこから東へ出て大きなバス通り 今は「ヨドバシカメラ」当時は「近鉄百貨店」の向かいにあったのが「2ボガ」

そして昨日の話でおでん太郎のはす向かいにあったのが「3ボガ」だ

この3軒のうち「1」と「3」は今はすでにない 「2ボガ」はずうっと残っていたのだがつい最近喫茶店ではなく「ダイニングバー」としてリニューアルされていた

外装も内装もすっかり変わってしまって当時の面影がまったくないのがちょっと寂しかったが、これも時代の移り変りなのだろうからしょうがないか・・・

この2ボガにはすごく思い出がある とにかく僕の20代のはじめの日々をどれだけここで過ごしただろう

僕は大体午後の3時くらいにここへ行くのだが店に入ると大概は何人か僕の友人や知り合いがすでにそこに居た 「今日はマデリンね」とか注文して席に着く 店の中はウッディー調でシンプルでさっぱりした内装だ コーヒーの匂いそして店内ではいつもカントリーミュージック、それも大方は「ブルーグラス」がかかっていた それはここのマスターの好みでもあるのだが、もう一人ブルーグラス気違いと言ってもいいほどの人物がいた それが当時そこのチーフを務めていた「木俣」という男・・・実は彼は僕の小学校のときからの同級生でそれもすごく仲のよかった友人だったのだ

そういうこともあってこの2ボガは僕だけでなくシバ、高田渡、友部正人、アーリータイムスのメンバー、加川良たまに”なぎらけんいち”など蒼々たるミュージシャンたちのたまり場になっていたのだ

その中でも特にここへの思い出が深いだろう人がいる それはギタリストの「中川イサト」 今では世界的なアコースティックギタリストとして不動の位置に居る彼が1973年に出したアルバム「お茶の時間」 そのジャケットに写っているのがまさにこの2ボガの窓なのだ

この席は通りに面していて窓が”出窓”になっていて5~6人が座れる・・・そこはいつの頃からか吉祥寺のミュージシャンたちの指定席みたいになっていた 僕もよくこの窓辺に座ってそとの景色をぼんやり眺めていたものだ せめてこの出窓だけは残しておいてほしかったけどね・・・

明日は「3ボガ」の話をしようかな

続く

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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コメント

  1. みか より:

    ボガで検索してたら辿り着きました。30年前に第2ボガがcafe Tinosという名前で営業していた頃に働いていました。その頃は角松敏生さんがたまに来てました。懐かしいです。