僕のブルースマン列伝 19

さて、今日はブルースの世界での「一発屋」を紹介したい

一発屋・・・この有り難くない称号を差し上げるのはちょっとためらいがあるのだが・・・と言うのもなぜこの人が評判を呼んでそして消えて行ったかが・・・かぎりなくブルースなのだ

その名はカルヴィン・リーヴィー(Calvin Leavy)

シンガー/ベーシスト。モダン・サザン・ブルース~サザン・ソウル。アーカンソー州でカルビン活動。1941年アーカンソー州スコット生まれ。ベーシストのホージア・リーヴィは兄。ブルースのスタイルとしてはB.B.キング~フェントン・ロビンスン。南部的な感覚とモダン・ブルースを無理なくブレンド。P-Vine<Cummins Prison Farm>の同名の曲は、68年に発覚した、アーカンソー州カミンズ刑務所での黒人囚殺し、秘密裏に行われた埋葬を告発するもので、南部でヒット。68年にソウルビート、アクアリアン、70年にシルヴァー・フォックスに録音。(CD,BR,Ln)・・・と「ブルース人名事典」には紹介されている

僕が彼のことを知ったのは当時発足したばかりの日本のブルースレーベル「P-バイン」からの第一kalvin作が彼のレコードだったからだ

ただしカルビン自身のリーダー曲はA面のみ B面はほかの人や彼のお兄さんの「ホージア・リーヴィー」の曲も入っている

そして、当時これがなぜ話題を呼んだのかというとそれはまさにこのアルバムのタイトルにもなってる「Cummins Prison Farm」という一曲のブルースが当時大問題を引き起こしたのだ とにかく聴いてください

この「カミンズ・プリゾン」という刑務所は実際アーカンソー州にある施設でそこの刑務看守たちがプリゾン黒人の囚人たちを無法に大量殺害し闇に葬っていたという実話をそのまま歌にしたもので、聴くとその演奏も歌詞も歌い方も実にアグレッシブに怒りに満ちている(写真はそことは別の施設)

その歌の歌詞の中にこんな一節がある

「俺は看守に”ここから出られたらかならず善人になりますから”・・・そう訴えた そうすると彼は俺の目を見ながらこう言った・・・ ”なあ、ここに居るのはみんな善人ばかりなんだよ”」

この曲だけでこの南部の無名のローカルブルースマンだった彼は一躍「時の人」になった

・・・でも、それだけだった かなり社会問題まで引き起こしついには当時の刑務所長を「更迭」まで追い込んだこの曲はブルースがもしかするとはじめて「社会」に向けて直接力を行使した極めて珍しい例だったのかもしれない

その後彼はまた元の「ローカルブルースマン」に戻り・・・いや、まだ若かったし「ソウルミュージック」も歌ってた彼はブルースではないジャンルでの活動にシフトしていったのかも・・・そして

92年より麻薬に関連した複数の罪で終身刑の判決を受け服役していました。その後、体調の悪化によりアーカンソー州パイングラフの病院に移されていましたが、2010年6月6日に糖尿病の合併症により死去しました。享年70歳でした。減刑により、翌年には出所できる予定でした。{ラジカルビスケット」より抜粋

・・・だそうだ 彼にとっての”あの後”のブルースマンとして黒人としての人生はどうだったんだろう

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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