僕のブルースマン列伝 25

さて、今日紹介するのは・・・この人を「ブルースマン」というカテゴリーに入れちゃっていいのだろうか・・・という迷いもあるのだけど、ある意味ではものすごくコアなブルースマンだと言える

ここまでいくと変り種と言うよりは「奇人変人」あるいは「ゲテモノ」と言われてしまうかもしれない そんな人

スクリーミン・ジェイ・ホーキンス Screamin’ Jay Hawkins だ

(1929 – 2000)
50年代初期のR & Bフリークのカリスマと呼ばれるスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは1956年の大ジェイヒット曲である”I Put a Spell On You”をはじめ、”Little Demon”、”Frenzy”、”Frenzy” 、”Ashes”、”Constipation Blues”、”Heart Attack and Vine”、そして”On The Job”など、アルバムタイトルにも「Ass-master」や「At Home with Jay in The Wee Wee Hours」、「I Shake My Stick at You」、「Rated X (Sting S)」と意味深で気味の悪いタイトルのシングルをリリースしています。 ハイチが起源で米南部でも奴隷たちに信仰されたVoodoo(ブードゥー)にヒントを得て花火やマグネシウムを焚いた稲妻や雷鳴を演出し、棺桶で登場してドラキュラのように起き上がったり、蛇や頭骸骨(干し首)などでステージを飾り立て、そして煙草をプカリとやるとヘンリーと名付けたドクロのクチに突っ込んでそれを手に歌う奇をてらったショーを演じました。
Theatrical Rock(ロックショー)といえばAlice Cooper(アリス・クーパー)といわれますが、元祖はスクリーミン・ジェイ・ホーキンスなのです。 ホーキンスは現在でもかなり奇異ですが、当時お上品なパット・ブーン好きなママ達からは当然物議をかもし出しました。
☆この怪奇なパーフォマンスで有名になった代表曲の”I Put A Spell On You(アイ・プット・ア・スペル・オン・ユー)”は1956年にOkehレコードからリリースされました。

スクリーミン・ジェイ・ホーキンスがピアノを弾きながら歌うことが多いBooDoo Swamp Boogie(スワンプ・ブギ)の”I Put a Spell on You”とは「私は貴方に魔法をかける」という意味だそうです。 元々は単にスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが去っていったガールフレンドに「帰ってきて!」という願いを込めた歌だったらしいですが、即刻放送禁止となって、恨みが積み重なってだんだん怪奇になっていったのかもしれません。 この曲を1950年代にスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの故郷であるクリーブランドでDJをしていたAllan Freed(アラン・フリード)が取り上げたところ、これがなんと大当たり! アラン・フリードはROCK’N’ ROLL(ロックン・ロール)の名付け親といわれる反骨の士としても有名なDJです。 よってク、リーブランドがロックンロールの故郷であり、Rock and Roll Hall of Fame(ロックンロール殿堂)があるというわけです。ホーキンス

R & BのFats Domino(ファッツ・ドミノ)、テキサステナーのIllinois Jacquet(イリノイ・ジャッケイ)、ジャンプ・ブルースのWynonie Harris(ワイノニー・ハリス)、スウィングジャズのCount Basie(カウント・ベイシー)とも共演したこともあるスクリーミン・ジェイ・ホーキンスは歌だけでなくピアノを弾いたりテナーサックスも演奏したそうです。 そんなスクリーミン・ジェイ・ホーキンスの最終目的はオペラだったといいます。 悲劇的な生い立ちの話しも色々ありますが、スクリーミン・ジェイ・ホーキンス曰く、「私はこの世に真っ裸で黒人で醜く産まれて来てそのまま死んでいく。 私は美男じゃないから人々は顔を背けるけど、そんなことはどうでもいい。 私が気にかけるのは人々の幸せなんだ。 だから、もし皆を笑わせることが出来れば私の役目は果たせたということ。」 謙虚であり、なんという博愛精神の持ち主なんでしょう! それで世界中を公演して回り、70歳にしてパリで2000年に亡くなるまでに6度結婚したスクリーミン・ジェイ・ホーキンス自身が知っているだけでも婚外の子供たちも合わせるとなんと57人の子供が世界中にいるとか。(6人の妻の内ひとりは日本人だそうです。) 精力絶倫男のスクリーミン・ジェイ・ホーキンスが生前語っていたという「自分の全ての子供たちと連絡を取りたい」を成就するために、ホーキンスの死後暫くの間、オフィシャルサイトで”ご落胤探し”をしていたそうです。 「Audio Video Triviaより抜粋」

まあ、まずは彼のステージがどんだけ奇抜で強烈だったかこれをごらん下さい


まるで「オカルト映画」のような演出と出で立ち そして過激すぎるパフォーマンス・・・

でもこれがある意味で南部のアフリカ系アメリカ人の文化の奥にに潜在していた「ブードゥー信仰」などをも象徴しているのかもしれない

そして、意外とこの「”I Put a Spell On You”」はその後「名曲」として多くのアーティストにカバーされることになる よく聴けばじつにいい曲なんだ ちなみにペンギンハウスに出演しているbehringもよく歌ってる

彼のパフォーマンスはその後の黒人を中心にしたアーティストに色々な刺激を与えていると思う JBとかマイケル・ジャクソンとかKISSとかDr.ジョンとか・・・もしかするとパンクロッカーにも

それでは最後に彼が1990年に日本で行ったライブ映像をゆっくりと楽しみましょうか 1990年の日本公演

奇抜な演出とか衣装とかばかりに気をとられてると意外とちゃんとしたブルースマンとしての姿を見逃してしまいそうになるけど・・・いいよね!


高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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