さて、ガンさんの初アルバム「青空」には全部で12曲が収録された
曲目は
2)たんぽぽのお酒 ;佐藤博
4)かま猫のブルース ;佐久間順平
5)時間がありすぎて ;佐藤博
6)ムーンライトジャグブルース ;松田幸一
7)青空 ;坂本龍一
8)南風 ;村上律
9)ことば ;坂本龍一
10)あんた ;松田幸一
11)3月31日 ;坂本龍一
12)わたしの自転車 ;坂本龍一
タイトルの右に書かれた名前は、その曲をアレンジした人だ ここでも坂本龍一が大活躍しているのがわかる
僕はこのうち 1) 2) 4) 6) 10)に参加
1)のかんしゃく玉はこのアルバムのオープニングテーマのような曲 ガンさんらしいオールドジャズっぽい曲を村上律は当時みんながハマっていた「ライ・クーダー」っぽいサザンロックスタイルにアレンジ 僕はこの曲では唯一アコギを弾いている ガンさんの持ってたGUILD F-50 を使ってライクーダーっぽいシンコペの利いたリズムカッテイングと2コーラスあとの間奏で16小節のソロを任された ここはもう得意中の得意ということで、ギターをドロップDチューニングにしてかなりライ・クーダーっぽいソロを入れた これは今聞いてもなかなかいい出来だと思う 当時、これを聴いた周りのプレイヤーたちから「いいね、イサト(中川)かと思ったよ」などというお言葉をいただいた
それと同じ曲の前の8小節のソロ、ここは朝比奈ヤストが中川イサトの持ってたSTEEL DOBROを使って最高にゴキゲンなスライドソロを入れている これはぜひ聴いてほしいなあ
あとの曲すべてで僕はバンジョーを担当 楽器は当時はまだこういうサークルにはいなかった小林清の5弦のGIBSONを借りて録音に臨んだ
2)の「たんぽぽのお酒」ではマイナーチューニングにしてスロウなアルペジオ奏法での演奏 一緒に坂本龍一がオルガンとカリンバを弾いた この演奏が後日、京都在住のベテランシンガー&バンジョー奏者の「古川豪」さんの耳にとまり 「あのバンジョーええなあ」というお言葉をいただき(やたらいただいてるね)・・・あげくは彼が当時執筆をしていたマイナーな情報誌の中で僕に「バンジョーの教則高座」をやってくれないか・・・などという話までいただいたのだが「僕はバンジョーは”本業”じゃないので」 とお断りしたのだが、これが縁で古川さんとの交流ができ、その後京都に行ったとき2度も泊めてもらったりした
残りの4)6)10)ではすべてディキシーランドっぽいリズムバンジョーを弾いている 本当にこのすぐ後に小林清が現れるわけだから僕はそれまでの「つなぎ」みたいなものだったね(笑)
本当は8)「南風」で僕はドブロを担当するはずだったのだが、その前日あたりに急に熱を出してダウン どうも連日真夏の暑い日中楽器を抱えてスタジオまで行き根を詰めるレコーディング作業に身体がマイってしまったようだ 結局ヤストが僕の代役でドブロを弾いたのだが、これがまた名演奏・・・僕がダウンしたおかげで素晴らしいプレイを残すことになった それにしてもヤスさん・・・勿体無いよねえ
そして、確か録音の最終日・・・芝居でいえば「千秋楽」だ・・・スタジオには今まで居なかったくらいの大勢の人間が集まっていた
ガンさんの「かんしゃく玉」のリフレインに皆でコーラスを入れるためだ
メンバーは当時のライナーから
青木とも子、安達美津子、朝野由彦、朝比奈やすと、、大津彰、小野由美子、佐久間順平、友部正人、中川イサト、中川五郎、中川水亜、藤原美智留、矢島たかし、村上律、吉田よしこ
・・・となっている そうか、吉田よしこさんとはこの時一緒だったのか
小野由美子は友部のかみさん、藤原美智留はのちに朝比奈ヤスト夫人になった 中川水亜は五郎と青木さんのあいだに生まれた長女 当時まだ乳飲み子だったが曲の中に声が入ってる(そうかあ今はもう40歳くらいなんだねえ)
女性が多かったのはそのほかの曲「あんた」で女性コーラスがたくさんほしいとのガンさんからのオファーがあったから・・・ちなみにわが妹MEGはこのときすでに渡米して日本に居なかった・・・はず
この録音・・・たしか9月1日だったはず・・・を最後に約1ヶ月以上かかったガンさんのアルバム「青空」の録音がすべて終了した
思えばその年の夏・・・僕はずうっとあのスタジオに居た・・・そんな気分だった
続く
高円寺ライブハウス ペンギンハウス