弾いて 歌う   28日

最近、ペンギンハウスは「弾き語り系」と言われるスタイルを持つ出演者・・・そう言うと全員から怒られるだろう 唯一の共通点はそれぞれがギターなどを持って演奏して歌う・・・それだけなのかも知れない ギター(弾き語りの代表として)という道具or相棒をどう使いこなしてゆくか・・・どう付き合ってゆくか そういう面白いテーマを今日の4組はそれぞれの取り組み方で見せてくれた
最初の演奏者はここの「名物」とも言える東京セッション
もう何度も彼らの演奏を見ているがリハと本番ではまったく別のことをやるという出演者は変わり者の多いペンギンでも彼らだけだ 今日はリハでは「Nowhere Man」が飛び出て思わず一緒にコーラスしてしまったぞ それにしてもアコギ2本でこれだけワイルドな演奏をするユニットもなかなかいない いっそエレキにしてしまえば演奏がもっと楽になりそうだけど・・・などと言うのは余計なお世話なのだ 思い切り歪んだハードロックサウンドが続くかと思うと突然悪夢から一時目が覚めたようにピュアーなアコギの音が流れる・・・しかしそれも「悪夢」の続きなのかもしれない・・・目覚めのひとことがいきなり「臭いっ!」だからショックだよねえ(笑) 東京セッションはいつでも東京セッションだ
2番目のINISIE 彼もまたわが道をいく孤高の演奏者だ 
歪むギターにどこまでも深く深くかけられたリバーブやデイレイはもはやもとの音がどこにあるのかまで見失いそうなくらいの奥行きの奥に演奏者を突き落とす そこから這い出すのは彼自身の手足でしか不可能で、いつもそれとの格闘が彼のギターサウンドになって聞こえる 今まではアンビエント系のようなインストがほとんどを占めていたが今日はなぜか全曲歌っていた しかも「カバーをやります」と言って歌ったのがなんと70年代の「はちみつぱい」の名曲「煙草路地」そして次にやったのはあの岡林信康の「私たちが望むものは」だったからびっくりした もう40年前の曲だし僕もだいぶ前の日記で取り上げたんだけどそれを40年後の若者が歌うと全然違って聞こえた それはもうパンクだった それにしても歌詞を読むのに「iPAd」を使うんだからやはり現代だね!
3番目は今日ペンギンには初登場のわっこ ラインに通したアコギの音はいたってシンプルでクリアーだ 歌い方はわりとストレートだがちょっとねちっこい歌い回しに特徴がある 数多いペンギンの個性派弾き語りにまた新たなタイプが一人増えた その聴きやすさを武器に彼の歌はその歌詞がじつにダイレクトに聴き手に飛び込んでくる 行きずりの恋人同士を歌った歌などなかなか毒気もあって面白かった 演奏中に見せるなんか照れ隠しみたいな仕草がちょっと気になったけど
そして今日最後の出演者羽賀和貴 前回はちょうど僕の休みに彼の出演日が重なって聞き逃していたので彼の演奏を聴くのは久しぶり・・・実は楽しみにしていたのだ ガット弦のギターをマイク録りというじつにアナログな演奏形式だが彼のギタースタイルは驚くほど新鮮だ なんていうかギターを単なる伴奏楽器とせずにボーカルと対等に対比させながら常にその両方の緊張関係をつくり続ける・・・これは実は僕が自分の演奏スタイルにいつも追求していることなんだけど彼のギターは見事にそれをやっている ちょうど今日が30歳の誕生日だったらしいがこの若さでこういうスタイルを身に着けているなんてすごいぞ! そして彼の歌も断片的な叙事詩が繋がって創り上げるすばらしい詩の世界だ 「大津波カモンカモン!」このファンキーな歌が僕は大好きだ
終わってみれば、今日のライブはつまり歌以外は最小限の音でどこまで世界を創れるかというテーマがメインだったような気がするけど まあそんなことはどうでもいいね ライブは楽しいのがいいよね 正直言って

・・・そして高円寺ライブハウスの夜はふけていった

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