そのアパートは小田急線の「東北沢」のすぐ近くにあった
僕は吉祥寺からだったので井之頭線で 「池の上」で下車するとそこからも歩いて数分のところ・・・交通の便のいいところだった
アパートは木造モルタルの2階建てで上下に2室ずつ、計4室の小さい建物 その外階段を上がったところが仲田修子たちが住んでるアパートだった
「たち」と言ったのはそこには数名が住んでいて、まず修子とその連れあいの・・・つまり現ペンギンハウスマスターの亜郎、そして「ペーパーナイフ」の増田と有海もそこに同居していた
つまり以前の吉祥寺話で紹介して僕が「羨ましい」と言った「アーリータイムス・ストリングバンド」の連中と同じく、彼らもそこで共同生活をしていたのだ
アパートの中は入り口を入るとまずダイニングキッチンがあってそれ以外に大きめの部屋が2つ その一室に2段ベッドを置いて寝泊りしているらしかった
そして、僕はその空いてるほうの部屋に通され修子やほかのメンバーたちとコーヒーを飲みながら色々な話をした 話しながら僕はなんだかそこがものすごく居心地がいいことにうっすらと気がついていた 何て言えばいいのか・・・それはあとになって考えてみると修子が持っていた独特のオーラとリーダーシップと包容力などが組み合わさってそこに一種の「磁場」みたいなものを作り出していたんじゃないか・・・そんな気がするが、とにかく今まで僕が居たどの場所よりもそこにいる時間は心が落ち着いてなんだか安心すると同時に彼らとの会話からくる刺激がたまらないものになっていた
「じゃあ、そろそろ帰ります」と言うとなんと修子はじめ全員が池ノ上の駅まで僕を見送ってくれたのだ
帰りの吉祥寺行きに揺られながら僕の心の中に今までなかったようなものが芽を吹きはじめていた
高円寺ライブハウス ペンギンハウス