僕らの北沢話  9

このあいだ、ペンギンハウスでの仲田修子ライブのあと マスター亜郎とギターの有海がこんな会話をしているのが耳に飛び込んできた

亜郎「あなたが最初に僕らのアパートに来た時、ちょうど僕らが購入した冷蔵庫が配達されて届いたときだったんだよね」

有海「そうそう・・・初対面で”どうも~今日は”というか言わないかで”ちょっとこの冷蔵庫運ぶの手伝って”ってね(笑)」

亜郎「ああ、そうだったねえ あのときが初めてだったんだねえ(笑)」

有海「”指が痛い~!”なんてヒイヒイいいながらアパートの階段登ったの覚えてるよ!」

二人「懐かしいねえ~~」

そんな時代もあったのだねえ

さて、ずいぶんと間を空けてしまった「僕らの北沢話」・・・どこまで話したんだっけ?

そうそう、今のメンバー瀬山研二がはじめてそのアパートにやってきた話までだったね

ではその続きから

新しくやってきたその若者はちょっと風変わりな雰囲気を漂わせていた 具体的にどうだと説明するのは難しいのだが、なんかそれまでの仲間たちとはまた違った感性を持ち合わせているような・・・その中身はやがて皆が知ることにもなるのだが

その日は実はもう1人訪問者があった 夕方くらいに修子の「ハコ」の同業者のAという男から連絡があって「今日これからそちらへ行く」とのことだった

そしてそのAと「みっちゃん」そして瀬山の3人が加わってその夜の北沢アパートはえらく賑やかなことになっていた

わいわいと騒いでいるうちにふと修子がこんなことを言い出した

「ねえ、これからちょっと遊ばない?・・・ちょっとアイデアがあるんだ」といたずらっ子っぽい顔で皆の顔を見回した

彼女がそういう表情をするときは何かすごくいいインスピレーションが浮かんだときだ さあ、今日は何を言い出すか・・・期待と不安が混ざる

「あのさあ、ツッパリングしない?今からさ!」

ツッパリング・・・「突っ張る」と英語の「ing」をくっつけた造語だが、その頃僕ら仲間のうちでは普通に「日常語」になってた言葉だ

その発祥の元になったのは当時のベーシスト増田だ 彼は下町浅草の出身で、高校生ぐらいのこindexろからその当時「ツッパリ」と言われていた仲間に入ったりしていて、だからライブをやるときには髪型はリーゼントと決まっていた その増田から「ツッパリとはどういうものか」を聞かされていた修子はやがて「ツッパリ」に関してはかなりの知識を持っていた

そこで彼女の遊び心がついに飛び出した

「今からみんなでそれらしい格好してどこかに繰り出さない?ツッパリのフリして遊ぶってのどう?」

「そりゃあいい!」 すぐにみんなが賛同 さっそく「仮装」が始まった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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