テイラーのギターに新しく作った牛骨のサドルを装着し弦を張りチューニングをした
その段階ですでに「オヤッ」と思うところがあったのだがとにかくチューニングを合わせてギターを弾いてみた 驚いた
まったく音色が違うのだ
以前のそのギターは全体的に音がキラキラした感じで特に高音部の「ジャリッ」とした音が目立つ特徴だった 全体的にその音が支配しているようで、いかにも今風というかテイラーっぽいというか「キラキラ」を通り越して「ギラギラ」とした感じのサウンドで、ペンギンハウスに出演しているギタリスト木下徹に弾いてもらったときに彼が「若い音がしますね」と言った感想は本当にそのとおりだと思った たとえばこのギターで「押尾コータロー」の曲なんか弾くとぴったりといった感じだったのだが、僕はこのあまりに今風な音色にちょっとだけ抵抗感があったのだ
そしてサドルを交換したテイラーは・・・テイラーでなくなっていた
最初は「うわっ、レスポンスが悪くなった」と感じたのだ とにかく全体の音から「ギラギラ」「キラキラ」が消えてなんていうか「もこっ」とした歯切れの悪い音になっていた
しかし、しばらく弾いているうちに僕はその考えが間違ってることに気づいた そうではないんだ 音がもっと深いところから沸きあがってくる 今までのテイラーは本当にトップの振動がそのままダイレクトに表に出てくる感じだったのだが、新しいテイラーはボディーの一番奥のほうまで振動が行き渡ってから戻ってくるという感じになっていてわかりやすく例えると「マーチン」の鳴り方に近い音になってたのだ
そうかあテイラーをテイラーっぽくしてたのはあの「タスク」のサドルが生み出す音色特性だったのか・・・そう納得した
ところで、アコギというのは面白い性質があってたとえば弦をいつも使ってるものと違うタイプに急に替えると(僕は普段はMartinのphosphor bronzeのlightを使ってる)最初はなんだかしっくり来ない しばらく弾いてるとその弦の鳴り方を覚えてギターが鳴り方を変える・・・そういうところがあるのだ
だからアコギというのは生き物みたいでたとえばしばらく弾かないで放っておくと”すね”て鳴らなくなるなんてまるで人間みたいなのだ そういうところも僕がアコギを好きな理由になるのだが
サドルを交換してしばらく・・・弾き続けていて現在はというと、あの「マーチン」ぽい音からまた少し「テイラー」っぽい音に戻ってきている さすがにギターにも「意地」があるみたいだ(笑)
高円寺ライブハウス ペンギンハウス