さて、話はまたギター奏法のところに戻る
今までピックの使い方とかフィンガーピッキングの話とかしてきたが、実は忘れてはならない大事なことがある
僕は今大体毎日最低一時間はギターの練習をしている 仕事の合間をぬってのことなのでなかなか時間が取れないのだが、とても大事なのだ それはもちろん演奏テクニックを上達あるいはキープさせるという目的もあるのだがさらに重要なこと それは「物理的」あるいは「身体的」理由があるのだ
僕の左手の指先の写真だ 指の先が少し丸くなって中央が少し凹んでいるのがわかる?
これは少しだけなんだけど「タコ」が出来ているのだ
このタコが大事で若い頃は毎日6~8時間くらいギターを弾いていた(よくやったもんだ)頃はここがまるで足の踵のようにカチカチになってて、硬いものを叩くと「カツカツ」と音がしたものだ
今ではさすがに「カツカツ」まではいかなくてせいぜい「コトコト」くらいなのだが、困ったことにこのタコが少しギターを弾かないでいるとあっという間に無くなってしまうのだ
このタコがあると無いのでは弾いた時の音の芯がまったく違ってしまうのだ
ギターの教則に必ず出てくる「ハンマリングオン」「プリングオフ」「チョーキング」といったテクニックもこの左手指にタコがあると無いのでは全く別物になってしまうのだ
たとえばこの写真のように3フレットにわたる早いフレーズを弾く場合、指先が硬ければ最初の1音をピックで弾き2番目はハンマリングで出し3番目のときにまたピックで弾くということができればかなり早いスピードで3連音が出せるのだ 極端にいえば最初の1音だけピッキングでもあとの2音がハンマリング(まさに「打つ」わけだ)でちゃんと音になれば成立しちゃうわけだ
最近ではこの左手を活用しさらに右手もフレットを押さえるというテクニックがかなり浸透し「タッピング」という奏法が一般的になってる
1980年代に登場したギタリスト「スタンリー・ジョーダン」はこの奏法でギター界に衝撃をもたらしたが
もっとすごい人がいた
この人・・・「アンドレス・ゴドイ」 というチリ共和国、サン・アントニオ出身のギタリストだが驚くことに右手がない 少年時代に事故で右手を失い、それまでもギタリストとして活躍していた彼が失意をバネにして試行錯誤を重ね編み出した左手だけで弾く 今、世界的に認められている「TATAP (タタップ)」という奏法
それは「障害者が」という枠などまったく感じさせない素晴らしいプレイだ 彼は現在もプロとして世界を股にかけて活躍しているという この動画のプレイを観てほしい
あらためて左手が持つ重要な役割をよくわからせてくれるプレイだと思うのだけど
高円寺ライブハウス ペンギンハウス